松下電器産業の株価が、出来高を伴い上昇を加速している。6月10日に終値で前日比32円高の1642円と大幅高になって以降、先週末の17日までで6営業日連続高となっている。年初来高値を連日で更新し続ける松下電器に何が起きているのかを探った。
今3月期の連結業績見通しは、独走状態にあるPDPテレビやDVDレコーダー、デジタル携帯音楽プレーヤーなどのデジタル家電をはじめとして、ドラム型洗濯機や食器洗い乾燥機など高付加価値の白物家電、さらにはFA機器、半導体・電子部品の進ちょくもあり好調だ。今3月期の連結経常利益は2900億円(前期比17%増)、純利益は1100億円(同88%増)と大幅続伸の会社側見通しになっている。さらに、同社の今3月期の為替想定レートが1ドルあたり100円となっているのに対して、現状の実勢レートは1ドルあたり109円台と想定に比べてかなりの円安水準で推移しており、もし現状のレートで推移すれば、売上高、利益ともに大幅な上乗せ要因として寄与してくることになりそうだ。
松下電器の強さについて、準大手証券のアナリストは「長年成熟市場といわれ続け、価格低下による採算の悪化が問題となっていた白物家電に高機能商品が相次いで登場し、白物家電でトップシェアを占める松下電器にとって追い風の環境となっている」としている。
また、日米欧の3市場で新製品を同時に立ち上げることで、短期間に収益を確保していることや、これまで弱点とされてきたデザイン設計面を一段と重視したこと、さらにマーケッティング機能を分離したことで顧客ニーズに合った製品開発が実現できていることなどが収益拡大に功を奏している。
6月10日以降株価の上昇が加速していることについて、外国証券のアナリストは「先週末17日の東証寄り付き前段階での主要外国証券経由の株式注文動向は、売り買いの差し引きで2080万株の大幅買い越しとなるなど、9営業日連続の買い越しとなった。これは、直前の6月第2週(6月6〜10日)の外国人投資家の売り越し額が、3490億円と3年半ぶりの高水準となったことからみると、外国人投資家が急速に、しかも大きく買い姿勢に転換してきたことを物語っている。この最近の外国人投資家の買い復活が松下電器の株価上昇にも大きく作用している。今回の外国人買いの特徴は、日本を代表する国際優良株がその主な対象となっていることだ。特に、これまで外国人投資家から見て、電機ポストで日本の国際優良株の代表格だったソニーの退潮ぶりが際立っていることから、ソニーの代わりに松下電器を買う動きも加速しているようだ」としている。
さらに、松下電器の信用取組が6月10日申し込み現在の東証信用残で信用倍率0.68倍と売り残が買い残を大きく上回り、将来の買い需要が多いことも株価を上昇させている要因となっているようだ。また、配当政策について、従来の「単独業績を基本とした安定配当」から「連結業績に応じた株主還元」とする変更を打ち出しており、株主還元に対しても積極的となってきたことも投資家に歓迎されているようだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」