--NILAは、どんな産業に関わる人々に集まって欲しいとお考えですか。
NILAは、「リスクを取っている個人」の集まりにしたいと考えています。自分で起業し、経営をしている人という意味です。そうなると人口的に多いのはやはりインターネット、モバイルになります。テクノロジー系などにも参加いただきたいのですが、現況を反映して、今のところ数は少ない状況です。
ただ、ネットワークを作る上で、互いの関連性がないと集まりにくいというのはあります。関連性があれば、広いテーマをカバーでき、互いに刺激が受けられ、協業の機会を得られる。そういう意味では、インターネット、モバイル、コンテンツ、通信、ブロードバンド、エンタープライズ向けサービス、基板テクノロジー、それに独立系のベンチャーキャピタルなど、関連性の深いところをカバーしたいと思っています。
--昨年のNILSの概要はCNET Japanでもレポートしましたが(関連記事)、オフレコトークなども飛び出したのですか。
あのレポートでは質疑応答が省かれていましたが、そこでこそ、面白いやり取りがありました。
例えば「Eコマースカテゴリーキラー戦略」というセッションで最初に質問されたのは、意外にもサイバードの堀主知ロバートさんです。その後も、さまざまな立場の方々によってプル型とプッシュ型について議論がなされたのですが、それぞれが違う立場からEコマースの可能性を論じている。それが非常に面白かった。やはり経営者ならでの視点から、自分たちの事業に直結できるものを探っていくわけです。
--かなり刺激ある、実り多いカンファレンスだったようですね。
昨年のNILSには、さまざまなアウトプットがありました。サイバーエージェントのアイスタイルへの資本参画は、NILSで意気投合した結果のことと聞いています。この他にも、NILSで出会って出資が決まった会社もあります。そういう面でも、非常に密度の濃い集いになったと思います。
--ここ数年、また再びインターネットビジネスが急成長してきていると思いますが、ベンチャーキャピタリストの目から見て、現在はベンチャーが育ちやすい環境にあるのでしょうか。
その通りだと思います。まず、ベンチャー企業への就職希望者が非常に増えています。ある程度成功したベンチャー企業に就職したがる人というのは、ある程度経験を積んだら自分で起業を目指すという人が多い。そういう意味では、就職希望者が増えた上に、起業家志望者が増えたと言えるでしょう。
特にその傾向はインターネット系で多く見られ、すでにヤフー、サイバーエージェント、GMOなどが人材供給会社になりつつあります。例えば、楽天ならフォートラベルの津田全泰さんやグリーの田中良和さんといった、第二世代が出てきていることからもわかるでしょう。
さらに第二世代にも成功事例が出始めています。先のフォートラベルは売上規模二百何十万という規模の時点で、12.5億円でカカクコムに買収されましたがこれは非常に破格です。
また買収側、つまりリスクマネーを供給する側は、ネット系大手企業が多く、買収、吸収が盛んに行われている。そのお金を市場で供給しているのは個人投資家で、さらに機関投資家も当然入ってきています。またベンチャーキャピタルもこの状況を見て、どんどん参入してきています。資金が流れ込んできているのです。そうなると必然的に産業自体が伸びていきます。
すべてが成功するわけではありませんが、ビジネスは数を打たなければ当たらない。リスクマネーと人材が供給されている現在、当たる確率はどんどん上がっていると考えられます。
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