はてながこだわるWebサービス提供の本音 - (page 3)

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アプリの公開は予想もしない価値を生む

 さて、私が所属するはてなでは、はてなWebサービスとして、はてなのコア機能を自分のウェブサイトで利用したいデベロッパーに向けてWebサービスを公開しています。

 Amazon Webサービスの成功事例を見たとき、そこにはネットワークの本質というものが見て取れました。データがネットワークを介してありとあらゆる場所へ広がり、広がったデータが第2、第3の価値を生み出す。そもそもインターネットは、作り出したデータが何の制約も受けずに広がるところに真の価値があると私は思っています。そして、そのデータを広める最も効果的な手段を知っているのは、世界中のデベロッパーです。

 彼らを味方につけ、彼らに面白いと思ってもらえるサービスを作ることが、結果的にデベロッパー以外のユーザーをも巻き込んで面白いと評価されるサービスにつながります。

 そして、はてなのようにウェブ上のサービスに特化した企業が、どのようにしてデベロッパーを味方につけるシステムを提供できるかと考えたとき、やはりそこはWebサービスによるAPIの公開という手段が最も効果的であると判断しました。そのために、はてなWebサービスという形で、はてなの持つコア機能を開放し、世の中のデベロッパーに利用してもらえるよう働きかけています。

 例えば、はてなという会社は現在社員10人程度の小さなベンチャー企業です。自社サービスを知ってもらうための広告などに、それほど多くの予算をかけることはできません。どうすればはてなを知ってもらうことができるでしょうか。それは、はてなの持つデータをできるだけネットワーク上で広めることです。Webサービスの公開により、デベロッパーの力を借りてはてなのデータを世の中に浸透させ、その認知度を高めることができると考えています。

 デベロッパーは、すでにはてなWebサービスを利用してさまざまなアプリケーションを公開し始めています。中には、提供者である私たちが予想もしなかった機能を持ったものもあります。私たち自身が提供しているものよりもすぐれたインターフェースを搭載した検索アプリケーションや、開発が後手に回って追加できていなかった機能を別の形で実装したアプリケーション、はてなのデータを二次的に利用しているウェブサイトなども見かけるようになりました。Webサービスを提供することで、提供者の予想を超えた価値が生まれることもあるのです。

Web2.0の新しい形を追求する「おもしろさ」

 現在、次世代のウェブを示す「Web2.0」という言葉がビジョナリー達の間でトレンドとなっています。今後ウェブにはどのような要素が必要となるのか、これまでの議論や実装の中から見えてきた新しいウェブの形がWeb2.0です。

 Web2.0では、「The Web as Platform(ウェブがプラットフォームとして振舞うこと)」が実現するとされています。OSがあらゆるソフトウェアのプラットフォームとなったように、Web2.0ではウェブサイトが他のウェブサイトのプラットフォームとなるのです。

 例えば、はてなはエンドユーザーからみればブログやオンラインアルバム、あるいはRSSリーダーなどのサービスを提供する「ウェブサイト」ですが、デベロッパーから見ると「アプリケーションプラットフォームの提供者」という別の顔を持っています。はてなが、ブラウザというインターフェースを通じてエンドユーザーから得たさまざまなデータを、デベロッパー向けAPIという別のインターフェースで、世の中に公開しているのです。エンドユーザーは日記を書くためにはてなを使い、デベロッパーは自分のアプリケーションを開発するためにはてなを使う。これがWeb2.0の形です。こうした次世代のウェブを実現するには、Webサービスによるコア機能の開放が必要不可欠なのです。

 はてなは、Web2.0の示すウェブサイトの形を目指して、Webサービスの提供に力を入れたいと思っています。「サービスであると同時にプラットフォームでもある」という技術的なポイントは、今後のインターネットサービスの面白さのひとつの要件であり、ネットワークの性質を効果的に利用するための優れたアプローチであると感じています。はてなは、いつまでも面白いウェブサイトであり、Webサービスであり続けると同時に、Web2.0のような技術的な視点からウェブサイトを設計することで、常にインターネットの先端を走り続ける姿をアピールしたいと思っています。いずれ、はてなというサイトが、すべてのウェブサイトのプラットフォームとなることを願って。

伊藤直也
青山学院大学大学院理工学研究課博士課程前期修了後、2004年9月、はてなに入社し、取締役最高技術責任者に就任する。著書に「Blog Hacks ―プロが教えるテクニック&ツール100選」(共著)がある。

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