総務省は6月3日、携帯電話への新規参入を希望する企業に対して、周波数を割り当てる意向を表明した。ソフトバンクグループやイー・アクセスが新規参入を希望しており、早ければ2006年にも新規事業者によるサービスが始まる見込みだ。
新規に用意する周波数帯は1.7GHz帯と2GHz帯の2つ。1.7GHz帯はFDD(周波数分割複信)方式と呼ばれる、現行の携帯電話と同じ方式を使う事業者に開放する。新規事業者には全国で利用できる全国バンド(1844.9MHz〜1859.9MHz)を5MHz幅ずつ、最大2社に割り当てる。
1.7GHz帯はソフトバンクグループとイー・アクセスのほか、既存事業者のNTTドコモとボーダフォンも割り当てを求めていた。総務省は、既存事業者に対して東名阪地区でのみ利用できる東名阪バンド(1859.9MHz〜1879.9MHz)を用意し、利用周波数が不足している場合に限って5MHz幅ずつ割り当てる。
2GHz帯は新しい方式のTDD(時分割複信)方式を使う新規事業者に15MHz幅を割り当てる。TDD方式は現行のFDD方式よりもデータ通信を効率よく伝送できる技術として注目されているが、商用化のめどは立っていない。なお、1.7GHz帯と2GHz帯の両方を同じ事業者が申請することはできない。2GHz帯はマルチメディア総合研究所の子会社であるアイピーモバイルが割り当てを希望している。
新規参入事業者は、免許付与後2年以内にサービスを開始し、5年以内に地域カバー率を50%以上とする必要がある。
携帯電話の新規参入をめぐっては、2004年10月にソフトバンクが800MHz帯の割り当てを求めて総務省を行政訴訟を起こし、その後2005年3月末に取り下げている。総務省は800MHzを既存事業者のドコモとKDDIに割り当て、代わりに1.7GHz帯と2GHz帯を新規事業者に割り当てることとした。
今回の総務省の決定をうけて、イー・アクセスでは「総務省が発表した割当方針案は、新規参入による競争促進を積極的に後押しする姿勢を明確に示したものであり、歓迎する。これまでの方針案策定の過程においても、公開の作業班を立ち上げ、新規参入希望者を含め広く意見を述べる場を設定するなど、手続きの透明性確保に向けての配慮があったと考えており、高く評価をしている」とコメントしている。
総務省では7月4日までパブリックコメントを募集する。寄せられた意見を元に1.7GHz帯および2GHz帯の割り当て方針を決定し、免許申請を受け付ける。2007年3月までに周波数の割り当てが行われる見込みだ。
新規参入を希望するイー・アクセスとソフトバンクグループはサービス開始に向けてすでに1.7GHz帯を使った実験を始めており、イー・アクセスは2007年3月までに、ソフトバンクグループは2007年12月までにサービスを始める意向を表明している。
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