欧州委員会(EC)のある上級幹部が現地時間30日、米国の大手IT企業数社がオープンソースコミュニティの進展に影響力を行使しすぎていることを非難し、これらの企業を直接攻撃する発言を行った。
ECの情報社会/メディア総合理事会のソフトウェア技術担当主任、Jesus Villasanteは、IBMやHewlett-Packard(HP)、Sun Microsystemsなどの大企業は、オープンソースコミュニティが独立した商用製品を開発するのを奨励する代わりに、彼らを下請業者として利用しているだけだと述べた。
Villasanteは、アムステルダムで開催中の「Holland Open Software Conference」で行われたオープンソースのイノベーションに関するディベートに参加したが、その席上で同氏は次のように主張した。「IBMは顧客に『プロプライエタリなソフトウェアとオープンなソフトウェアのどちらがいいですか』と訊ね、(顧客がオープンソースを望んだ場合)『了解しました。IBMのオープンソースですね』と言っている。彼らの場合は、オープンソースよりも先に、IBMやSunやHPといった社名が出てくる」
「これらの企業は、オープンソースコミュニティの潜在力を下請業者として利用している--現在のオープンソースコミュニティは、米国の多国籍企業の下請け状態にある」とVillasanteは付け加えた。
同氏は、オープンソースコミュニティに対し、これら大企業への依存を減らすように呼びかけた。
「オープンソースコミュニティは、自分たちの存在を真剣に捉え、コミュニティがコミュニティ自身や社会に貢献していることを自覚しなければならない。コミュニティが自らを社会進化の一部であると自覚し、それに影響を与えようとした瞬間から、われわれは正しい方向に動き出すだろう」(Villasante)
このパネルディスカッションには、Sun ONE Consultingのチーフアーキテクト、James Batyなどが出席していたが、これらのパネリストはVillasanteの発言に驚いたようだった。これまで専門家らは、IBMなどの大企業がオープンソースソフトウェアを支持することで、同コミュニティに貴重な貢献をしてきたと主張していた。これらの企業は、オープンソースソフトウェアがプロプライエタリな製品に代わりとして信頼に足る選択肢になることを、企業やIT専門家に説得する点で一役買ってきたとされていた。
Batyは、Villasanteの発言に直接には答えなかったが、Sunなどの企業はオープンソースコミュニティに貢献する責任があると述べた。Sunはオープンソースの生産性向上アプリケーション、OpenOffice.orgなど、複数のオープンソースプロジェクトに貢献している。
「オープンソースコミュニティから搾取するだけの企業もあるが、一方では同コミュニティ貢献しなければならないという姿勢の企業もある。(オープンソースは)捕獲や悪用の対象としてではなく、チャンスとして捉えられるべきだ」(Baty)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス