Googleを見ていると、Microsoftを思い出すことが多い。とくに、Bill Gatesがダボス会議の常連となり、U2のBonoとつるむようになる前の、昔のMicrosoftのことをよく思い出す。両者の共通点は、「ITがどう世界を変えていくのかについて、すごいアイデアを頭のなかにぎっしりと詰め込んだ切れ者が大勢いて、彼らが自由に会社を動かしている」という点だ。
ところで、そんなGoogleは、情報を自在に操れるようにするというMicrosoftの野望を、どの程度理解しているのだろうか。
CEOのEric Schmid は、この野望の皮肉めいた面白さを間違いなく理解している。1980年代から1990年代にかけて、彼はMicrosoft と競合関係にあったSunとNovellに籍を置いていた。ただし、どちらの場合にも彼は敗者であった。ところが今では、立場が逆転している。
すでに十分なサービスを提供しており、しかも一向にその手を緩める様子もないGoogleは、先週また新しいサービスを1つ公開した。Microsoftにとって、これは警鐘といえる。また、Yahooもそろそろ腰を上げて次は自分の番であることに気づく時期である。
Googleが公開したこの最新機能は、ユーザーが同社のホームページを自分用にカスタマイズできるようにするもので、しかもさまざまなモジュールをドラッグアンドドロップで好きなところに配置できるようになっている。このページには、BBC、The New York Times、Slashdot、Wiredがさっそくコンテンツを提供しており、今後さらに多くのニュースが追加されるだろう。このホームページではRSSもフルサポートされる予定で、さらにここには広告が掲載されることになっている。My Googleは、My Yahooにとって無視できない存在になる。
常に新しいサービスを求めるウェブユーザーは、Googleのこうしたサービス拡張を歓迎している。Googleは、約9カ月前に株式を公開して以来、各四半期ごとに場外ホームランをかっ飛ばし続けている。株価も天井知らずで、一体この集団はつまづくことがあるのだろうかと誰しも思わざるを得ない。
いささか誇張が過ぎたかもしれないが、技術企業にとって不変の法則があるとしたら、それはこの業界が絶えず変化しているということだ。どの企業にもつまづく時がくることは、これまでの歴史が示している。しかし、私にとって問題なのは、Googleの場合それがいつになるかということだ。来月なのか、それともずっと先のことなのか・・・。
バブルがはじける前のIT企業にありがちだったいかがわしい経営者と違い、CEOのSchmidtも、Googleを立ち上げたSergey BrinとLarry Pageも、自分たちのビジネスに情熱を抱く筋金入りの技術屋である。さらに、私はこの3人による奇妙なトロイカ体制がとっくに崩壊したものと思っていたが、彼らは3人で全盛をきわめる方法を見つけたようだ。
Microsoftは今、新しい検索機能を使って、失った時間を取り戻そうとしており、2006年の後半にリリースされるLonghornでは、検索以外の機能も実現すると約束している。Microsoftを過小評価するつもりは決してないが、こうした動きのなかにあっても、Googleの敵がGoogle自身であることに変わりはない。
企業というものは、ときとしてその欲望のために分別を無くしてしまうことがある。Gmailをめぐる騒動の際にGoogleが見せた的はずれな対応ぶりは、その典型的な例といえる。プライバシー保護論者たちは、Googleが広告のターゲットを絞りこむために電子メールの中身をスキャンしていると知って激怒した。Googleの「邪悪に身を落とすな」というモットーも所詮その程度のものだと知ったからだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」