InfineonとIBMが、これまで長期に渡って行ってきた技術提携を拡大することで合意した。両社は本合意に基づき、相変化メモリの研究プログラムに取り組む。相変化メモリとは、その構造の変化によってデータを記録する方式のメモリのこと。
両社と台湾のMacronixは、約25名の従業員を同メモリで使用される物質や構造の研究に従事させる。同プログラムは、ニューヨーク州ヨークタウンハイツとカリフォルニア州アルマデンにあるIBMの研究所を活動拠点とする。
相変化メモリでは、加熱により結晶状態とアモルファス状態の2つの状態に、その基礎的構造を切り替えられる物質を利用する。物質の表面の1点にレーザーを照射し、その反射で特定のポイントが結晶状態であるか否かを判断する。コンピュータでは、この反射の違いを1か0かで表現する。
現在のメモリは、1つのセル内に電子を閉じ込めることで機能している。相変化メモリの長所として、消滅する可能性のある電子の蓄積に依存しない方法でデータを記録できる点が挙げられる。その一方で、相変化メモリは機械的に劣化する可能性がある。
世界中の研究者らは、自らの働く企業をムーアの法則の呪縛から解き放つような物質と構造物を探し求めている。ムーアの法則とは、チップとコンピュータの性能が定期的に向上することを予測したもの。シリコンベースのプロセッサ製造から開放されることで、企業はさらに高速で消費電力が少なく、省スペースなチップを開発し、製造コストを下げたいと考えている。
新しい物質でできた新種のチップは、今後20年以内に登場すると見られている。だが、さまざまな物質の開発が行われるなか、このうちのどれかが大量生産にこぎ着けるという保証はない。メモリは、こうした新しい試みが行われる最初の市場となるだろう。
この試みは困難を伴うことだろう。Intelは、何年にもわたって相変化メモリの一種であるOUM(Ovonic Unified Memory:OUM)を研究してきた。Intelの共同創業者で、ムーアの法則でも有名なGordon Mooreが30年前に、OUMについての明るい将来を予見しているものの、いまだに商用ベースの大量生産を実現していない。Philipsもまた、相変化メモリを開発している。
InfineonとIBMはまた、メモリの一種であるスピントロニクスの共同開発にも取り組んでいる。OUMと同様、スピントロニクスの分野でもまだ、優れた結果は出ていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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