ワシントン州レドモンド発--Microsoft Officeの次期バージョンについて、これまで何カ月も沈黙を続けてきた同社が、ついに口を開き始めた。
Microsoftは、次期バージョンにあたる「Office 12」を2006年後半までに発売すると述べている。ただし、新たに追加される機能のほとんどについては、まだ具体的な事柄を明らかにしていない。同社はまた、コラボレーション機能の強化など、改善が必要と考えられるいくつかの広い分野についても話を始めている。そのほかの重要な分野としては、個々の生産性向上や、ビジネス情報の検索、企業ビジネス文書の管理などが挙げられている。
「今も難しい課題が残っている。出てくる課題の難易度も高くなっている」とMicrosoftのJeff Raikes(グループバイスプレジデント)はインタビューのなかで語った。
たとえば、電子メールなど、一部には機能が改善されたものもあるが、それでも新たな課題が生まれている。Raikesは、平均的なビジネスユーザーが1日に受け取る電子メールの数が、1997年当時に比べて約10倍になっているとの調査結果を紹介した。Raikesによると、この数は今後4年間でさらに5倍になるという。
この電子メールの増加や、さらにはインスタントメッセージ(IM)や他のコミュニケーションツールの普及に対応するために、Microsoftは、本当に重要なメッセージだけを拾い出せるようなソフトウェアを開発しようとしている。たとえば自分の上司や子供といった相手からのメッセージはそのまま通すが、他の人間からのメッセージはすべてボイスメールに回すなど、一定のルールを設定する考え方はしばらく前からあったが、Raikesはこうしたシナリオの実現性が高まっていると述べている。
「このビジョンは常に拡大し続けていくだろう」とRaikesは述べる。ただし「それを実現するには、そちらの方向への大きな飛躍が必要となる」と同氏は付け加えた。
Microsoftにとって、だれもが買わずにいられないような新製品をリリースすることはたいへん重要だ。OfficeはWindowsと並んで同社の稼ぎ頭であり、同社の利益のほとんどは両製品の売上からのものだからだ。
MicrosoftはOffice 12の計画を最初に共有する重要な聞き手を選んでいるが、それも別に驚くべきことではない。会長のBill Gatesは、米国時間19日に始まる同社の「CEO Summit」というイベントで講演を行い、Office 12についての説明することになっている。このイベントには、AmazonのJeff BezosやBest BuyのBrad Andersonをはじめ、数多くの著名なCEOが参加すると見られている。
Office 12は、次期Windows「Longhorn」と相前後して発売される予定だが、同社はこの2つの製品を緊密に連携させるという当初の計画をすでに断念している。Office 12はLonghornだけでなく、それより前のWindows上でも動くと予想されている。
Microsoftは、追加を計画している一部の機能について、具体的な情報を明らかにした。その1つは、Excelにダッシュボードやスコアカードの作成機能を追加するというものだ。これは増加の一途をたどるデータをユーザーがもっと有効に活用できるようにするための試みの一部で、ビジネスの状況を素速く把握できるような視覚的な方法を提供するものとなる。
一方、プレゼンテーション用プログラムのPowerPointでは、これまでよりも多くのグラフィック機能が自動化され、ユーザーがデザイン作業にあまり時間をかけなくても見栄えのする文書を作成できるようになる。同社はまた、他のプログラムとデータを共有する手段として、XMLの利用を拡大することも計画している。
Microsoftは、Office自体に追加される機能について大まかな説明を行っただけで、Office 12とともに登場してくる新しいソフトウェア製品群については、まだ発表できる段階ではないとした。なお、Officeが前回大幅な改訂を受けた際には、電子フォームのInfoPathとOneNoteというメモ用アプリケーションが追加されていた。
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