起死回生なるか--米大学で進む「ゲーム開発学科」開設の動き

John Borland (CNET News.com)2005年05月17日 20時34分

 全米の他の大学と同じく、University of Denverでも、過去数年間にコンピュータ科学系の講座の受講者数が激減した。

 しかし、同大学では、他の大学とひと味違うある対策を思いついた。それはゲーム開発だ。

 University of Denverは昨年、4年制大学としては全米で初めて、ゲームの開発を専攻する学科を開設した。この学科の授業は、コンピュータ科学とデザインの要素を併せもったものになっている。応募者の数はすでに増加しており、そして他の大学でもこれに追従する動きを見せているところがある。

 こうした流れに対しては、従来のコンピュータ科学者と、「Mortal Kombat」や「Halo 2」といったゲームを完全な遊びと見なす大学当局関係者の双方に、難色を示す者もいる。しかし、そんな懐疑的な見方も薄れつつあると、この分野に注目する学者らは述べている。

 「いまは最初の映画学校がつくられた1930〜40年代にかけての映画業界のようだ」と、University of Denverで同プログラムを率いるScott Leutenegger助教授は指摘する。「映画学校は当時真剣に受け止められていなかったが、今では誰もが素晴らしいと思っている」(Leutenegger)

 各大学がコンピュータ/ビデオゲームの分野に大きな関心を示していることは、ゲームというメディアの成熟を示す強力な証かもしれない。この業界の売上は年間数百億ドル規模に成長している。スーパーマリオやLara Croftといったキャラクターがポップカルチャーの世界で定着したのはしばらく前のことだが、いまではゲームがE3のような業界イベントの会場から飛び出し、James JoyceやOrson Wellesとならんで大学のカリキュラムに組み入れられようとしている。

 しかし、各大学と才能溢れる人材を必死で求めるゲーム会社との関係は、まだ定まっていない。

 学術の世界には、一方にゲームやゲームプレイヤーの行動を文化的/人類学的な現象として研究し、独自の分析や研究を行いたいと熱心に考えている学者がいる。先ごろ開かれたあるイベントでは、この問題についての議論が戦わされたが、何人かの教授は、自らの研究がゲームデザイナーの役に立つ可能性を指摘しながらも、ゲーム業界が抱える実際的なニーズからは独立した研究を進めると言い張っていた。

 たとえば、University of Wisconsin(Madison校)のゲーム研究者のグループは、学習にゲームをどう使えるかを主として研究している。また、他の研究者はマルチプレイヤーゲームの経済学から、ゲームの人口統計学や社会学まで、さまざまな主題を採り上げている。

 「わが校はゲーム業界へ人材を供給する立場にはない」と同校で助教授を務めるKurt Squireはいう。同氏は、MITで教育に重点を置いた同様のプログラムを進めていたことがある。「ゲーム開発者の育成はわれわれの仕事ではなく、またそうしたいとも思わない」(Kurt Squire)

 これに対し、もう一方にはLeuteneggerの進めるよう実践寄りのプログラムもある。最近増え始めているのはこちらのほうで、職業学校やアートスクールだけでなく大きな大学でも、こうしたプログラムを開始している。

 これらのプログラムのカリキュラムは通常、プログラミング、デザイン、アートの3つに分けられる。一部の学校では、学生がどれか1つの分野を専攻することが認められている--企業側でも具体的な得意分野を持つ応募者のほうが、3つのすべてを経験した者より好ましいとするところもある--一方で、学生に全分野のスキルを身に付けさせようとする学校もある。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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