楽天は5月12日、2005年第1四半期(1〜3月)の連結決算を発表した。野球によるブランドの認知がより向上したことや、EC事業および金融事業が引き続き好調だったことなどから、売上高は前年同期比58.4%増の155億800万円、営業利益は同40.0%増の47億3400万円、経常利益は同30.6%増の47億4900万円、純利益は同8.9%増の13億7800万円となった。
事業別の売上高では、EC事業が前年同期比57.4%増の68億5900万円、ポータル・メディア事業が同27.6%増の14億3200万円、トラベル事業が同21.6%増の14億6600万円、金融事業が同80.4%増の55億7800万円、プロスポーツ事業が1億7100万円となっている。事業別で唯一赤字となったプロスポーツ事業の営業利益は8億1000万円の赤字だが、これは「当四半期にほとんど野球の試合がなかったためだ」と、楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は説明する。この赤字事業を除いた全体の営業利益は55億4000万円で、前年同期比63.9%となる。
楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏 |
EC事業では、流通総額が前年同期比63.6%増の709億円で、注文件数も同67.0%増の558万6000件と順調に推移した。1注文あたりの購入単価は約9500円と、前年同期の約9700円より減少したが、これは「ネットショッピングが普及したためだ」と三木谷氏は見ている。同四半期における1人あたりの平均購入回数は約2.2回と、前年同期の約2.0回より増えていることから、三木谷氏は「今後も顧客のリピート率を向上させたい」としている。
なお楽天は、2005年2月以降の新規契約店舗に対し、これまで無料としていた売上高100万円以下の店舗に対するシステム利用料を、売上高の4%とするよう改定している(既存契約店舗は2006年1月より適用)。三木谷氏によると、新料金体系への移行はスムーズで、「システム利用料値上げ直後の2月は若干新規契約が少なかったものの、4月からはこれまで以上に新規店舗数も伸びている」としている。
トラベル事業では、2005年1月末よりはじめた海外航空券の流通総額が月間で1億9000万円を超えたほか、予約受付泊数が四半期ベースで初めて400万泊を超えた。また、これまで1人利用での予約が多かった宿泊予約が、2人以上での利用が大幅に向上した。同社では、1人利用をビジネス系、2人以上の利用をレジャー系としているが、今後もレジャー系を伸ばすとしている。1人利用は現在ほぼ横ばいが続いているが、「2005年1月における2人以上の利用は、2004年1月と比べて約40%増になった」と、楽天 取締役 常務執行役員の山田善久氏は説明した。
金融事業では、楽天証券の信用残高が順調に増加し、一時1500億円台となった。楽天証券 代表取締役社長の國重惇史氏は、「相場に左右されない収益構造にする。そのため、営業収益の中心となる委託手数料の割合を下げる」としていたが、2004年4月から2005年3月までの営業収益では、委託手数料の占める割合が66.0%、金融収益が22.1%、アセットマネジメント収入が6%などで、「目標としていた60%は思ったより簡単に達成できた。最終的には50%程度となるだろう」(國重氏)としている。なお、楽天証券では4月1日より投資銀行本部を新設し、M&Aやプライベートエクイティ投資、ベンチャービジネス投資などを開始している。
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