--SIパートナーが開発したアプリは、Symbian OS搭載端末であればほかの端末でも利用できるのでしょうか。
端末の能力によります。通常の携帯電話端末はメモリ容量が小さいので、PDAのようにさまざまなアプリを動かすのは難しいでしょう。実際、このためにSIパートナーは企業に対してPDAでモバイルソリューションを提供せざるを得ない状況にあります。携帯電話向けに数百キロバイトで業務アプリを作ろうとすると限界があるので、どうしてもPDAが必要になるんです。
しかしM1000は自由メモリ領域が19Mバイトありますから、通常のPDA向けソフトをM1000用に切り替えて動かすことができます。アプリケーションベンダーのPDA用ソフトウェア資産がそのまま流用できる点は大きいと思います。すでに13社ほどがアプリケーションの開発に賛同していますし、ほかにも数十社のSIパートナーと話し合いを進めています。
もちろんドコモでも必要なアプリは提供していきます。具体的には、無線LANを快適に利用するためにIDやパスワードを入力しやすくするものや、遠隔ロック、遠隔データ消去などのセキュリティ機能があります。つまり、携帯電話の使い勝手を良くする部分のアプリはドコモが提供します。ただ、それ以上の業務用アプリなどはSIerの領域になります。
--ソニーがPDA市場から撤退するなど、PDA市場は厳しい環境にあります。M1000はこの状況を看破できるのでしょうか。
PDAにデータ通信カードを差し込んで使っている企業は非常に多いです。しかしこの場合、情報配信はプル型です。つまりユーザーが自分でサーバにアクセスしてデータをダウンロードする必要があります。ユーザーから見れば、わざわざPDAからサーバにアクセスすることなく、常に最新の情報が入っていて欲しいと思うでしょう。
M1000の場合、たとえば在庫管理業務でデータベースの情報に変更があれば、自動的にM1000に着信をかけてアプリを起動させ、センターに問い合わせて情報を更新することができます。こういった機能はPDAに通信機能を付けただけのものではできません。
日本でPDAのビジネスは難しいという見方をする人は多いです。携帯電話が急激に進化した一方で、ノートPCもどんどん小型軽量化している現状では、PDAの存在意義が薄れつつあるとも言えるでしょう。
また、オープンプラットフォームを使ったスマートフォンについても懐疑的な見方をされます。しかし、M1000ではPDAではできないことができます。確かに難しい市場かもしれませんが、きちんとPCやPDAを使いこなせる層には受け入れられる端末だと思っています。M1000が数百万台も売れるとは思っていませんが、数十万台規模のニーズはあると見込んでいます。企画型端末として、ビジネスユーザー層のニーズをきちんと取り込んでいきたい。M1000は新しい携帯電話の流れへの挑戦なんです。
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