Adobe SystemsがMacromediaの買収を発表した。このニュースは、開発者にとっても寝耳に水の話だったようだ。両社のソフトウェアや合併会社の行方について、ユーザーの間では不安や楽観論など、さまざまな反応が巻き起こっている。
34億ドルという買収額は特に記録的なものではない。しかし、ウェブ開発者やデザイナーにとって、これは1つの時代の終焉を告げるものであると同時に、新たな時代の幕開けとなる出来事といえる。というのも、彼らは長年にわたってMacromediaとAdobeが競い合うのを目撃してきたからだ。
Adobeは従来よりグラフィックデザイナー向けのソフトウェアを重視しているが、開発者の間からはこの点に対する懸念の声も聞かれる。
「Macromedia製品を使う開発者はこれからどうなってしまうのか」と述べるのは、ソフトウェアアーキテクトのJesse Ezell。同氏の勤めるコンサルティング会社Activehead(ミズーリ州ジョプリン)は、Macromedia Flashをベースにしたツールを企業向けに開発している。「Adobeはデザイナーにフォーカスした会社だが、デザイナーが必要とするものは開発者のそれとは異なる。これまでMacromediaは1人でも多くの開発者の心をつかもうとしてきた。Adobeになってもそうした姿勢は続くのだろうか」(Ezell)
AdobeとMacromediaは、この買収に関するFAQを公開し、こうした懸念を緩和しようとしている。
「この買収は、両社が製品やサービスを提供するあらゆる分野の顧客にメリットをもたらすことでしょう。ウェブや印刷、ビデオの仕事に携わるプロのクリエイターにも、アプリケーション開発者にも、ビジネスユーザーや企業にも、モバイル分野の開発に携わる人にも、個人ユーザーにもメリットがあることでしょう」と両社は記している。「最先端を行く両社の情熱や創造性、優れたオペレーションを組み合わせることで、われわれは、あらゆる立場の人々の情報との接し方を変えるような技術革新を加速させ、顧客の皆様により良い製品やサービスを提供できるようになります」(同FAQ)
多くの開発者にとって、自分が現在利用しているアプリケーションが買収完了後も残るか否か、また(残るなら)いつまで残るかという点が、最大の関心事となっている。さまざまな掲示板やブログでもこの点が指摘されているが、このFAQにはそれについてのはっきりした回答は載っていない。
「私は、Macromediaがここ数年の間に出してきたFlex、Breeze、Contribute、 FlashPaperなどの比較的マイナーなツールがどうなるのかを懸念している」とあるディスカッショングループの参加者は記している。「これらの小さな宝石(のようなツール類)はみなどうなってしまうのか。FreehandとDirectorはなくなっても構わない。Directorは、JavaScriptに対応するようになってからまた使い始めてたので、残念だ。なくなると一番困るのはおそらくDreamweaverだ」
開発者のなかには、残すべきソフトや、別のものに切り替えるべきソフトを挙げる者もいる。
「両社の製品を使う人間として、私はMacromediaを買ったAdobeがGoLiveを捨ててDreamweaverを残すことを期待している。また、Photoshopが残りFireworksがなくなるのが良いと思う」とMITのOpenCourseWare Projectに参加するウェブ開発者のB.K. DeLongは述べている。「Adobeが賢明にも、Dreamweaverの市場シェアだけでなく、ウェブ開発者にとってそれがどれほど強力なツールであるかを理解してくれると期待している」
両社は公開したFAQのなかで、既存の製品開発計画は予定通りに進めるとして、開発者やデザイナーらの不安を払拭しようとしている。
さらに、Macromediaというブランド自体はなくなるものの、Adobeは今後もMacromediaの主要な製品ブランドを残し、その開発に投資を続けてゆくとFAQには記載されている。
個別のソフトウェアの先行きについて、Adobeは買収完了後に製品ロードマップを発表すると述べるに留まっている。だが、Adobeは、ある1点については意図をはっきりさせている。「Flashプラットフォームは合併後の戦略で鍵を握るものになる」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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