この分野では、Flashを擁するMacromediaがかなり先行している。また、Microsoftが来年発売する次期Windows「Longhorn」には、Avalonというグラフィックエンジンが搭載されることになっているが、これは登場の遅れにもかかわらず有力な候補者と考えられている。そして、AdobeはMacromediaを買収するまでこの分野に参入していなかった。
「Microsoftが、MacromediaとAdobeだけをターゲットにするというわけではない」というのはBurton GroupアナリストのPeter O'Kelly。「しかし、従来のドキュメントとアプリケーションやマルチメディアとの境界線はあいまいになりつつある。Macromediaが以前から提案してきたアーキテクチャモデルと似たものを、Microsoftが出しても不思議ではない」(O'Kelly)
アナリストらは現在、XAML(Extensible Application Markup Language)というXMLベースの言語を含むAvalonが、MacromediaのFlashやAdobeのAcrobatと同じ機能を数多く実現するものになると予想している。Microsoftのツール類はWindows用に最適化されている一方、AdobeやMacromediaのソフトウェアは、Mac OSやLinuxを含む多種多様なデスクトップ環境をサポートしてきている。
Longhornは、オンラインアプリケーション用プラットフォーム市場への参入を検討するベンダー各社の前に大きく立ちはだかっている。この市場には、ほかにもMacromediaのFlashとFlexサーバの組み合わせ、Sun MicrosystemsのJ2SE、Laszlo Systemsが開発中のオープンソースプラットフォーム、そして先ごろ「AJAX」と命名された定評のあるウェブ標準のセットなどの競合技術が存在する。また、IBMのWorkplaceは、主にJavaを使って「リッチクライアント」アプリケーションを構築するアプローチをとっている。
AdobeとMacromediaの合併が最初に検討されたのは数年前のことだった。
両社は1990年代後半、お互いの市場を侵略し始めた。Adobeは、Macromediaのウェブオーサリングソフト「Dreamweaver」と競合する「GoLive」を発売したが、その後GoLiveの人気は低迷した。一方Macromediaは、プロのグラフィックス制作者らの間で圧倒的なシェアを持つIllustratorの競合製品としてFreehandとFireworksを投入した。
Adobeはまた、Flashに代わるものとして考えられたWorld Wide Web Consortium(W3C) のSVC(Scalable Vector Graphics)を支持して、Macromediaの領土に侵入しようとした。さらに最近では、MacromediaがFlash Paperを出し、PDFの市場を奪おうとしている。
Adobeは元々印刷の世界から出発した企業であるのに対し、MacromediaはCD-ROMやウェブのコンテンツといったデジタルメディアの領域で活動していたため、当初は両社が直接競合することはなかった。
しかし、2001年の半ばには、互いに競い合うための両社の取り組みが行き詰まりを見せていることが両社の目にあきらかになった。文化的に異なる両社の関係は、戦略的に健全な戦いから、つまらない意地の張り合いに後退してしまった。さらに、それぞれが市場で苦戦を続けるなかで、両社は特許をめぐって法廷で争うことにもなった。
その一方で、MicrosoftはすでにLonghornの計画を発表し、このソフトウェアに「先進的なプレゼンテーション環境」が含まれることを匂わせるようになっていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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