Flashの知識がないWindows開発者でも、Flashを使ったアプリケーションを開発できるようにするソフトウェアが登場する。これにより、さらに強力なウェブアプリケーションを開発する競争に拍車がかかる可能性がある。
Xamlon(本社:カリフォルニア州ラホーヤ)は来週、Xamlon Pro Flash Editionのプレビューバージョンをリリースする。このソフトウェアは、Windowsのプログラミング言語や開発ツールを使って開発したアプリケーションを、MacromediaのFlashプレイヤーで動作するアプリケーションに変換するもの。
Xamlonの創業者兼CEO、Paul Coltonは「Windows開発コミュニティ全体が、Flashアプリの開発に全くスキルセットを活かせないのは深刻な問題だった。われわれは、C#やVisual Basicの分かる開発者がFlashアプリケーションを書けるようする」と語った。
ウェブアプリケーションの開発に関しては、多数の競合ベンダーがさまざまなソフトウェアやシステムを投入している。Flashアプリケーション開発用のMacromedia Flexも有力製品の1つで、またLaszlo Systemsから出ているFlashベースのシステムもある。Microsoftでは、インターネットと密接に連動するWindowsアプリケーションの開発用に新しいシステムを投入する予定だが、このシステムにはプログラミング言語のXAML(Extensible Application Markup Language)や、グラフィックスシステムのAvalonが含まれる。
また、最近ではAJAXにも開発者の注目が集まっている。AJAXは、「Asynchronous JavaScript + XML」(非同期JavaScript + XML)の頭文字をとったもので、開発者らは既存のウェブ開発技術をひとまとめにそう呼んでいる。
AJAXの支持者らは、以前からある技術で作り出せる強力なアプリケーションの例として、GoogleがつくったGmailやGoogle Mapsなどのアプリケーションを挙げている。
XamlonはAJAX支持者らの主張に対し、自社のエンジニアがXamlon Pro Flash Editionを使って、Google Mapsに相当するアプリケーションを週末に1人で作ってしまったと述べている。
ところで、そもそもWindowsアプリケーションの開発者がFlashアプリケーションを開発したいと考える理由は何か、という疑問に対して、XamlonはMicrosoftの.Netアプリケーションはダウンロードに時間がかかるという点を上げた。それに対して、Flashプレイヤーはすでにインターネットに接続している大多数のコンピュータにインストールされており、ダウンロードするデータの量も少ない。
Flashアプリケーションのもう1つの利点は、さまざまなOSやブラウザ上で動作することだ。ただし、ファイヤウォールがFlashコンテンツをブロックする場合があるため、企業のなかには不利になるところもあり得る。
Flashベースのアプリケーションはそれほど普及していないが、その最大の原因はFlashを使う開発者が不足していることにある。
Macromediaがサードパーティから買収して手にれたFlashは、元々アニメーション制作ツールとして開発されたもので、アプリケーション開発は想定外だった。同社はその後、開発ツールの「Flex」やサーバソフトウェアなどを追加し、Flashを使ったアプリケーション開発能力を強化したが、しかしWindows開発者に比べると、Flashを使う開発者の数はいまだに少数に留まっている。さらに、これらのFlashユーザーの多くはデザイナーで、アプリケーション開発者ではない。
XamlonのFlash editionが成功を収めた場合、Flashアプリケーションをつくるアプリケーション開発者の数が増えることになるため、Xamlonは結果的にMacromediaに力を貸すことになる。
「Macromediaはこの市場から離れられなくなる可能性がある」というのは、Burton GroupアナリストのPeter O'Kellyだ。「Macromediaがまったくアプローチできていない開発者がたくさんいる。これらの開発者はVisual Studioのユーザーだが、ほぼすべてのパソコン上で動かせるFlashを活用したいと考えており、またASP.netでは使えないようなエフェクトも利用したいと思っている」(O'Kelly)
Macromediaは、Xamlonの新製品発表を歓迎している。1998年に同社がFlashのファイルフォーマット(.SWF) を公開して以来、これまでに100を超えるFlashコンテンツ制作用アプリケーションがサードパーティから出されていると同社は述べている。
Xamlonは、サンフランシスコで開かれるFlashForward2005カンファレンスで、4月6日にXamlon Pro Flash Editionのプレビュー版をリリースし、正式版のリリースは5月3日に行う予定だ。さらに同社には、今後6カ月以内にJava開発者向けのバージョンをリリースする計画もある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス