「Visual Radio」がいよいよ米国に上陸する。Visual Radioは単なるテレビの新しい呼び名ではない。
米大手ラジオ放送事業会社Infinity Broadcastingは、ネットで視聴可能なFMラジオ放送サービス「Visual Radio」を米国市場で提供しようと、Hewlett-Packard(HP)と協力して取り組みを進めている。この放送では、最新のアルバム情報やコンサートスケジュールなどの情報を提供する。さらに放送と同時に画面上に「buy-this-album(このアルバムを購入)」ボタンが表示され、リスナーは携帯電話の画面上でそのボタンを押すことにより、気に入った曲を購入することができる。
このラジオ放送は、従来型の片方向通信のFM放送よりもむしろ、携帯電話事業者の電波に乗せて配信されるデジタル情報や、FMラジオの視聴が可能な次世代携帯電話をターゲットにしている。従来のラジオ放送は、衛星ラジオやインターネット上のウェブキャストとの熾烈な競争にさらされているため、各放送事業者はこの新サービスを従来型ラジオ放送の新たな広告/収入源にしたい考えだ。
「ラジオ放送業界は、新技術の脅威にさらされつつある」と語るのは、HPの戦略的アライアンスおよびビジネス開発担当バイスプレジデントのVikki Pacheraだ。「われわれなら、これまで付き合いのなかった新しい顧客層との関係構築やこれまでにない収益源の確保などの面でラジオ業界を支援できる」(Pachera)
従来のラジオ放送局は、デジタル時代に合わせて自らを改革しようと数多くの戦略に取り組んでおり、Visual Radioもその一環に過ぎない。
InfinityやClear Channelなどのラジオ放送局は、オンライン配信する自社コンテンツの数を増やしたり、ダウンロード可能なポッドキャストでの番組配信を開始しており、最終的に無線放送のデジタル化を目指している。
現在、各ラジオ放送局が携帯電話向けラジオサービスで流れている楽曲に合わせてその曲に関する文字データを提供する場合、携帯電話事業者のネットワークを利用しなくてはならない。だが、一度放送をデジタル化してしまえば、これらのデータをより容易に提供できるようになる。
このVisual Radioのコンセプトは、フィンランドではすでに商業化されており、さらにイングランドやドイツなど、他のいくつかの市場でも試験運用されている。
Nokiaは、2006年中頃までにVisual Radioを受信可能な携帯電話機を発売する予定だ。HPによると、恐らくそれまでには同放送サービスの視聴が可能になるが、同サービスを成立させるためには携帯電話事業者とさらなる交渉が必要だという。
HPは今週、米ラスベガスで開催される毎年恒例のNational Association of Broadcasters(NAB)カンファレンスで計画を発表する予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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