ラスベガス発--Hewlett-Packard(HP)最高経営責任者(CEO)のCarly Fiorinaは米国時間19日、当地で開催中の全米放送事業者協会(National Association of Broadcasters:NAB)カンファレンスで基調講演を行い、放送関係者に対してデジタル革命に取り残されぬよう、新しい技術を受け入れなければならないと語った。
FiorinaはNABの基調講演のなかで、「今日の放送を形作っているのは、まぎれもなくデジタル技術だ」と述べ、放送される番組の制作や配信形態の変化に触れながら、「いま我々は、あらゆるプロセスやすべてのコンテンツが、アナログからデジタルへ、静的なものからモバイルへ、そして物理的な媒体に制約されたものからバーチャルなものへと移行しつつある時代にいる」と付け加えた。
同氏は、今後10年間にわたってこうした変化が起こるとしたうえで、放送関係者は、TiVoのようなコマーシャルをカットできる手段やデジタル形式での番組の保存などを考慮しながら、新しいビジネスモデルを開発する必要があると述べた。
「たとえば学校の先生が、映画制作会社のデジタルアーカイブのなかにある南北戦争を題材にしたドキュメンタリーのうちで、最も優れたテレビ番組や映画を、自分の歴史の授業で使いたいと注文してきたらどうなるだろう?」と問いかけた同氏は、「これらの答えの多くは、単に新しい経済モデルだけではなく、新技術の使用を通して可能になる」と付け加えた。
Fiorinaのこのコメントは、コンテンツの制作や配信、消費に関するHPの取り組みを説明するなかで発せられたものだ。同社は、デジタルエンターテインメントとユーティリティ・コンピューティングを今後のビジネス成長の原動力と位置付けている。
HPはユーティリティ・コンピューティング関連の計画で、放送局や映画スタジオなどに向けて計算処理能力を提供し、これらの顧客がハードウェア関連のコストを軽減できるようにしたいと考えている。またデジタルエンターテインメントに関しては、同業界向けに製品やサービスをカスタマイズし、色補正やデジタル編集のような分野で新しいサービスやデバイスを提供したい考えだ。さらに同社は、コンシューマー向けにデジタルエンターテインメントを中心とする新しいサービスやハードウェアの提供を計画している。
その一例として、HPは先ごろNokiaと契約を結び、Visual Radioサービスを提供すると発表した。このサービスは携帯電話を通してラジオ局がリアルタイムで番組をリスナーに届けるというもの。またHPは19日に、DreamWorksおよびWarner Brothersと契約を交わし、デジタルアニメーション、編集、配信や映画の修復に関して協力していくことになったと発表した。
Fiorinaは最後に、歴史を専攻していた大学生の頃を振り返り、個人的な感想を述べて、この基調講演を終えた。同氏は、ニュース番組制作者の認識や彼らが意味付ける権威によって歴史が作られていくと述べたうえで、番組の質を高め、人間の愚かさではなく、人々が達成したことに焦点を当てたニュースをより多く取り上げるように放送関係者に訴えた。
「世の中を良くするために積極的に行動している人々のニュースを知る必要がある」(Fiorina)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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