先週後半より、IBMなど代表的なハイテク株を中心とした米国株式相場の大幅な下落や中国での反日デモ拡大の影響を受けて、東京株式市場でも主力ハイテク銘柄への売りが先行する展開が継続している。4月入りと同時に反発の兆しをみせはじめていただけに、国内の主力ハイテク銘柄の株価上昇に水を差された感じだ。ただ、今週後半から本格化する2005年3月期の決算および2006年3月期の業績見通しの発表を受けて、主力ハイテク株の株価が出直る可能性も秘めている。その際のけん引役として期待を集めているのがシャープだ。同社の底力の強さについて探った。
主力ハイテク銘柄の株価が軒並み下げ加速となるなかで、一部市場関係者からはシャープについて「業績面での好実態を踏まえると、米国株の波乱にさほど神経質になるべきではない銘柄」との見方が出ているほどだ。2006年3月期の液晶関連事業に関しても、安定した収益拡大への期待が高まっている。シャープはテレビ用液晶パネルの取引価格を明らかにしていないが、パソコン用液晶パネルと同様に、3月以降は価格の下落傾向が緩やかになっているものと判断してよさそうだ。2006年3月期の液晶事業について準大手証券のアナリストは「大型液晶テレビの需要拡充に伴う45インチ大型液晶テレビの本格量産や、システム液晶増産に伴うASV液晶(従来製品に比べて広視野角、高速応答を実現した製品)の本格展開なども加わり、引き続き業績の順調な拡大が見込める」としている。
会社側予想の2005年3月期の連結業績は、売上高2兆5300億円(前々期比12%増)、営業利益1500億円(同23%増)、経常利益1400億円(同25%増)、純利益750億円(同24%増)となっている。さらに、2006年3月期の連結業績について、準大手証券では売上高2兆9000億円(前期推定比14%増)、営業利益1850億円(同23%増)、経常利益1750億円(同25%増)、純利益920億円(同22%増)と予想している。
さらに、3月30日にシャープは、同社がトップシェアを握る太陽電池について、産業用太陽電池事業を強化するため、単結晶、多結晶の太陽電池のほか、アモアルファスと微結晶タンデム型シースルータイプについても市場へ投入することを発表した。合わせて産業用太陽電池の2006年3月期の売上高を、前年度比50%増の700億円に引き上げる見通しを明らかにしたことも今後の株価にとってプラス材料といえる。一般住宅用を含めた太陽電池事業全体では、2006年3月期は1500億円の売上規模となる見通しで、採算面でも黒字になってきており、同社の新たな収益のけん引役として評価されそうだ。
シャープの最近の株価は、3月30日に一時1590円の安値をつけたあと反転上昇に転じ、4月8日には一時1700円の高値まで買い進まれていた。しかしその後、米国株安や日中関係の悪化により株価は下落傾向を強めている。もし、今後株価が1600円を割り込んで1500円台に下落するようなことがあれば、買いの好機となりそうだ。なお、シャープの3月期決算発表は来週4月26日に予定さてれている。
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