米最高裁判所は米国時間29日、独立ISP企業の存続可能性を決し得る裁判で、ケーブル企業が自社のネットワークから他のISPを排除し続けてもよいか否かについて審議を行った。
米連邦通信委員会(FCC)とBrand Xと呼ばれる小規模のISPが争っているこの裁判は、ケーブルインターネットの極めて専門的な法的定義付けを中心に展開されている。FCCは、ケーブル企業は自社回線を独占的に利用して、高速インターネットサービスを提供する権利を有すると述べる。その一方で、Brand XなどのISPは、ケーブル企業は電話会社のように回線を開放するべきだと主張している。
数名の判事は、電話業界とケーブル業界の2つの業界を別々に規制すべき理由について頭を悩ませていたようだ。
ケーブル業界側の弁護士はDavid Souter判事に対し、ケーブル企業がISPとネットワークを共同使用する義務を負わない理由について説明した。これに対し同判事は、「ケーブルについてそのような説明が可能なら、電話回線についても同じ説明が成り立つのではないか」と語った。
インターネットが登場した当初は、多くのISPが事実上全ての市場でインターネット接続サービスを提供していたが、最近はそのビジネスパターンが徐々に変化しつつある。今回のBrand X訴訟では、インターネットビジネスの基本原則が改めて設定されることになりそうだ。
高速インターネットサービスに対する需要が高まるにつれ、電話会社は高速DSL(digital subscriber line)を使った高速インターネットサービスの大半を提供するようになってきた。その一方で、ケーブルプロバイダは高速ケーブル回線を独占してきた。消費者のブロードバンドネットワークへの移行が続く中、小規模ISPは、このままでは自分たちのサービスプロバイダとしての役割を完全に失ってしまうとの危機感を抱いている。
FCCとケーブル業界側の弁護団によると、FCCには電話業界とケーブル業界を完全に等しく扱う義務はないという。また電話業界には独自の歴史があり、議会で通信法が可決された際にも別個に扱われた、と同弁護団は主張した。
しかし、Brand X側の弁護士であるThomas Goldsteinは、FCC側の解釈は議会の意図とは異なると主張する。ケーブル企業は、インターネットや電子メールといったサービスをセットで提供し、それを理由に自分たちは基本的な通信を規制する法律の適用対象外だと主張することにより、うまく「規制から逃れてきた」とGoldstein弁護士は主張する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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