PtoPソフトウェア企業のGroksterとStreamCast Networksに対し、顧客が行った著作権侵害行為の法的責任を負わせるべきか否か--米最高裁判所は米国時間29日、この問題を検討するための審問を開いた。判事らはPtoPネットワークでまん延する著作権侵害行為について批判的な態度を示す一方で、エンターテインメント業界が行ったファイル交換撲滅に向けた提案に対しても厳しい目を向けた。
1時間に及んだ審問の間、数名の判事は、エンターテインメント業界の提案の持つ意味について懸念しているように見えた。提案の内容は、「主に」著作権侵害によって事業が成り立っている企業は、顧客が行った著作権侵害行為の法的責任を負うべきだというもので、米法務次官事務所もこの案を支持している。
Intelなどのハイテク企業は、仮にこの提案が通れば、メーカー各社は自社製品の想定外の使用あるいは不正な使用に基づいて提訴されることを恐れるようになり、その結果、(ハイテク分野の)技術革新が抑制されかねないとかねてから主張してきた。
Stephen Breyer判事は、特にAppleのiPodに着目した。同判事は、恐らく多くの人々がiPodを無料でダウンロードした楽曲の保存に使用するだろうと述べた上で、MP3プレイヤーやXeroxのコピー機、さらにGutenbergのs活版印刷機でさえも、発明された当時は、「膨大な数の、予見可能な、著作権を侵害しうる使用方法」が存在したと指摘した。
Antonin Scalia判事は、原告のエンターテインメント企業を支持する法務次官に対し、ある新興企業が提訴されるまでの期間はどれくらいかと尋ねた。
Scaliaは、「(新興企業が)新商品をリリースすると同時に提訴されるのではないかと懸念している」と語った。
このように、著作権に関する新しい規則の制定を懸念する声があるにも関わらず、数名の判事は、まん延する著作権侵害についてGroksterやStreamCast Networksに責任を負わせる方法を模索した。
判事らは、ファイル交換企業が、著作権で保護されたファイルの交換を行うようコンピュータユーザーらに積極的に「働きかけた」か否かを判断するため、この件を地裁に差し戻すことが可能か否かの検討にかなりの時間を割いた。それが可能であれば、判事らは著作権法の大幅な改正を回避できる。
Groksterの代理人を務めるRichard Taranto弁護士は、過去の「働きかけ」に関する問題は下級裁判所にも提訴されておらず、当然最高裁にも提訴されていないと述べた。これに対し、映画製作会社側の弁護士であるDonald Verrilliは、下級審判決は、PtoP企業が著作権侵害行為を積極的に奨励していたか否かを再調査する機会を奪いかねないとし、最高裁は下級審判決の有効性を認めるべきではないと反論した。
最高裁で行なわれる他の審問と同様、これらのやりとりだけでは最終的にどのような判決が下されるのか、予測することは難しい。少なくとも、PtoP企業の支持者らは、判事らが他のハイテク企業に及ぶ危険を重視したことに安堵している。
これに対し、エンターテインメント企業の幹部らは、最高裁は著作権を保護する手段を模索しているようだと述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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