日本IBMは3月30日、米IBMが開発した新チップセット「XA-64e」を搭載して性能を高めたSMP(Symmetric Multiprocessing、対称型マルチプロセッシング)構成のハイエンドPCサーバ「eServer xSeries 366」を出荷した。高さ3U大の筐体に最大で4個の64ビット拡張(EM64T)CPU「Xeon MP」を搭載する。価格は98万円から。
xSeries 366の最大の特徴は、新チップセットの採用によって従来よりも性能を高めている点。同社システム製品事業 xSeries & IntelliStation事業部長の藤本司郎氏は、「(新チップセットが実現する)アーキテクチャによってIAサーバ業界の常識を変える」と自信のほどを見せた。CPUとして採用したEM64TはAMD64と並び、現行の32ビットのソフトウェア資産と今後の64ビット資産の両方を動作させられる機構を持ち、資産を64ビットに限定したItanium 2の代わりに今後、PCサーバの主要なCPUとなるものだ。
新チップセットと64ビット拡張版CPUの採用によって、xSeries 366は4CPU構成のIAサーバとしては性能が高い。非営利の業界団体TPC(Transaction Processing Performance Council、トランザクション処理性能評議会)が作成したトランザクション処理性能のベンチマーク「TPC-C」の値は、システム総額90万3089ドルで1秒当たり15万0705トランザクションを処理した。
XA-64eではまた、外部キャッシュ専用のメモリを使わなくて済むため、システム価格を抑えられる。Xeon MPはL3(レベル3)キャッシュまで内蔵するが、外部キャッシュであるL4キャッシュに専用のメモリを用意することなく、メインメモリの一部をL4キャッシュとして使えるようにした。L4キャッシュは、メインメモリへのアクセスを高速化するために使ったり、SMPを構成する個々のCPUの状態フラグをキャッシュするのに使う。
xSeries 366では関係ないが、XA-64eは、チップセットとチップセット間を接続するインターコネクト機能も持つ。2005年第4四半期に出荷を予定するXA-64e搭載機では、複数のSMP機同士を接続してシステム全体で1つのSMP機に見せる手法として、同社のPCサーバ「NUMA-Q」で実績のあるNUMA(Non-Uniform Memory Access、複数のSMP機がメインメモリを共有する形態)を利用。最大32CPUをSMPイメージで使える機種となる。
xSeries 366のモデルは、CPUの動作周波数の違いによって2種類を用意した。高速な3.66GHzのCPUを標準で2個搭載する「8862-PAN」が本体価格138万円。低速な3.16GHzのCPUを標準で1個搭載する「8863-1GJ」が本体価格98万円である。ディスクとメインメモリ、追加CPUはオプション扱いとなる。
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