多様化するアプライアンス--人気の秘密は導入コストとスピード

Martin LaMonica(CNET News.com)2005年03月29日 12時04分

 Cast Iron Systemsという新興企業のCEO、Fred Meyerから同社のデータ統合製品の話を聞くと、普通はソフトウェアCDが数枚入った市販パッケージの箱を頭に思い浮かべるだろう。

 ところが、同社が製造しているのは、企業のデータセンターにあるラックに収まるようなサーバやルータに近い製品だ。

 Cast Ironの製品がこのような設計になったのは偶然のことではない。Meyerによると、同社はソフトウェアではなくハードウェアを販売することで、ライバルより優位に立てるのだという。同社は米国時間28日に4回目のベンチャー資金調達を発表した。

 「われわれはずるい手を使っている」とMeyerは同社の戦術を説明した。「今日の顧客は、10年前にハードウェアを購入していたときの感覚で、ソフトウェアを購入するようになっている。ソフトウェアにもはや魅力はない。仕事を片づけるためのツールに過ぎないのだ」(Meyer)

 ソフトウェアだけでなく、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた製品を販売するというやり方は、決して一般的とはいえないものの、その先行きは明るいと支持者らは述べている。こうしたアプローチの人気が高まれば、アプリケーションの一部としてアプライアンスを設計する例がますます増えてくると予測する者もいる。

 アプライアンスの最大のセールスポイントは、導入にかかるコストとスピードだ。専用機器のほうがさまざまなコンポーネントを集めたシステムよりも、インストールと保守が容易に行えると業界幹部らは述べている。

 さらに、今日の企業向けIT市場では、顧客が初期投資を低く抑え、プロジェクトの準備期間を最短に抑えることに熱心なため、こうしたリスクを嫌う顧客にアピールするには「よりシンプル」で「より低コスト」なことが重要になる。

 Charles River Venturesというベンチャーキャピタルのパートナー、Ted Dintersmithは、「企業は1〜2段高い性能を持ち、ITインフラへの組み入れが大幅に容易なものを必死に探し求めている。きちんと機能する確率が3分の1というブラックホールのような製品に、3000万ドルも支払いたがるIT購買担当者やCIOがいるだろうか」と語っている。

 専用アプライアンスは特に目新しいものではない。ネットワーク機器メーカーでは、ルータやファイヤウォールなど、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた専用機器を何年も前から扱っている。

 しかし、現在では専用アプライアンスがさらに多くの目的に使われるようになっている。

 たとえば、5年前に設立されたNetezzaでは、データウェアハウスアプリケーション向けにチューニングされたデータベースアプライアンスを開発している。

 同社CEO兼共同創業者のJit Saxenaによると、カスタムチップ、ストレージ、専用ソフトで構成されるNetezzaの製品は、IBM、Teradata、Oracle、Hewlett-Packard(HP)などの競合企業が提供する製品よりも有利な立場にあるという。

 「顧客は(通常必要なコストの)3〜4分の1で、少なくとも1段上の性能を得られる。簡単に使えて所有コストも安いこのアプローチに、大規模な汎用マシンも面目を失うだろう」(Saxena)

 Netezzaは先ごろ、4回目のベンチャー資金調達で1500万ドルを調達し、今年中には社員を現在の140人からさらに100人増やす計画だ。

 一方、Googleも法人向けに検索アプライアンスを販売しており、またXMLネットワーキングの世界では、ネットワークトラフィックの速度向上やWebサービスのセキュリティ確保といった作業を行うアプライアンスを多数の企業が販売している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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