街灯用の電柱を利用して、高速な無線ネットワークと周辺地域の情報サービスを展開するという、ドットコムバブル全盛期を彷彿とさせるような事業を、ある英国企業が計画している。
この計画を進めるLast Mile Communicationsでは、どこにでもある電柱を利用することで、ネットへのブロードバンドアクセスのほか、周辺地域の有益な情報も提供できると説明している。
Last Mileは英国時間22日、QinetiQというコンサルティング会社と共同で、この計画の商用化に取り組むことを発表した。両社は、このサービスの試験導入を今年後半に予定しているが、ただしどこで行うかは明らかにしていない。また、Last Mileはこのサービスの大規模展開に自信を見せている。
Last Mileでは、インターネットへのアクセスを提供するワイヤレスアクセスポイントとして電柱を利用するだけでなく、電柱内部にフラッシュメモリを組み込み、そのなかに保存した地元のパブやコーヒーショップ、商店に関する情報を提供することも予定している。
Last Mileの営業およびマーケティング担当重役であるBarry Shrierによると、ユーザーは、MagicBookと呼ばれるアプリケーションを携帯端末上で起動し、いちばん近くにある電柱のフラッシュメモリに接続して、そこに保存されている情報を利用できるようになるという。
同社はまた、各種の救急サービスの支援も得たいと考えているが、これには電柱内のフラッシュメモリにたとえば建造物の正確なレイアウトを保存しておくことで、非常時に消防士がその情報を利用できるようにするといった狙いがある。
Jupiter Research Europeのアナリストで、ブロードバンドやパーソナルテクノロジーの分野をカバーするIan Foggは、Last Mileの成功には公官庁からの支援が不可欠だと述べている。
Last Mileは、自社の強みとして、地域の電話交換局など他社の通信基盤に依存しない点を挙げ、これによって広範囲にわたってネットワーク障害が発生した場合でも、サービスの継続が可能になるとしている。さらに、ユーザーがMagicBookを使用してデータにアクセスするたびにLast Mileへの支払いが生じる仕組みにすることで、電柱へ情報を保存するよう各社を説得できるという。
「たとえば、ガソリンスタンドを経営していたとする。Last Mileのサービスを使えば、付近にいるガソリンが必要なドライバーと、すばやくしかも低コストで連絡がとれるようになる。これは、インターネットの使い方としては大きな前進であり、そこから得られるメリットもこれまでにはなかったものだ」(Shrier)
しかし、急増するWi-Fiホットスポットなど他のロケーションベースのサービスが発展すれば、Last Mileのビジネスプランが脅かされる可能性もある。
「3G携帯電話機のメーカーでは、ロケーションベースのサービス提供を行う機能を、端末やベースステーションに追加している。また、すでにたくさんのWi-Fiホットスポットが存在しているが、こうしたサービスへの需要はどちらかというと少ない」(Fogg)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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