アリゾナ州スコッツデール発--Jeff Hawkinsが脳をビジネスにしようとしている。
Palm Pilotなどを開発した実績を持つHawkinsは、パターン認識が可能なシステムの開発に特化した会社を設立しようとしていることを、今週当地で開催中のPC Forumで明らかにした。このシステムは人間の脳と同じように機能し、身近な現象の予測などに応用できるという(PC ForumはNews.comを運営するCNET Networksが主催するイベント)。
同氏が開発に力を貸した初期のソフトウェアアプリケーションは、絵の内容を認識できるというが、これは以前から科学者たちを悩ませてきた難問だ。「コンピュータに絵を見せて、『これは何』と訊ねることができるようなソフトウェアは存在しない」(Hawkins)
Hawkinsはこれまで、脳の働き方について説明した「On Intelligence」という著書を書いているほか、Redwood Neuroscience Institute(RNI)という非営利組織で人間の知能に関する研究を行っている。Hawkinsの新会社に関する情報は、RNIからの電子メールで明らかにされることになる。
「会社の発足時には1通の電子メールが届く。発表は電子メールだけだ」(Hawkins)。だが、Hawkinsは電子メールがいつ送信されるかについてはコメントを避けた。同氏はまた、試作アプリケーションがその会社で製品化される時期についても明らかにしなかった。
Hawkinsによると、人間の知能はその多くが記憶と関係が深く、かなり複雑な機能を司る新皮質でデータを収集/整理し、将来のためにこれをパターン化しておくという。
「皮質の階層構造が世界の階層構造--少なくともわれわれの認識する世界を実際にマッピングしている」(Hawkins)
同氏は、一例を示すために手を叩いて見せ、聴衆全員が両手が触れることを予測しただろうと述べた。「手がジャガイモに変わるとは、だれも予想しなかっただろう」(同氏)。そして、聴衆が手を叩くと普通に音がしたが、同氏は「豚の鳴き声はしなかった。もししていたら、びっくりしていただろう」と述べた。
だが、爬虫類にはこれと同じような記憶階層がない。「みなさんはワニよりは適切に物事を予測できる」と同氏は述べた。
RNIは、コンピュータに90枚の白黒の絵を認識させるソフトウェアのプロトタイプをすでに開発している。このソフトウェアが動くコンピュータに、犬やヘリコプターのようなイタズラ書きを見せておくと、そのマシンは絵のサイズが縮んだり若干ゆがんでも、同じ絵だと認識するようになる。Hawkinsが行ったデモでは、正反対の方向を向いた犬のイタズラ書きをこのソフトウェアが2回目で認識した。
パターン認識は、検索エンジン専門ベンダーの間で近年流行する確率のテクニックを一部に利用している。15年前には軽視された確率だが、現在では各方面で人工知能向けの将来最も有望なソリューションだと考えられている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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