サンフランシスコ発--ソニーの技術者は米国時間9日、ゲーム開発者に向けて、Cellプロセッサは巨大かつ複雑で、しかもIBMのサーバと多くのDNAを共有するものだが、だからといって特に恐れる理由もないと語った。
Sony Computer Entertainment America(SCEA)の2人の研究者は、当地で開催中のGame Developers Conferenceで行われたパネルディスカッションのなかで、同社が次期PlayStationの頭脳となるCell向けに、ゲーム開発者にはすでに馴染みのあるプログラミングツールを採用し、また新しいツールも用意して手際良く作業を進められるようにすると述べた。
SCEAのデベロッパーリレーションマネジャー、Mark DeLouraは「Cellの仕組みは複雑だが、それをゲーム開発者にとって使いやすいものにするために、われわれにできることは何でもする。新チップが登場するたびに新しいAPIを覚えさせるようなことはしない」と語った。
ソニーは、IBMおよび東芝と提携し、4年前からCellの開発に取り組んでいる。先月には、同社のエンジニアがそのアーキテクチャの詳細を明らかにし、IBMのPowerアーキテクチャに基づくマルチコアプロセッサになると説明していた。
ソニーは9日に、Cellチップ向けのプログラム開発について詳細を一部公表した。そして、Cellは既存の開発ツールの多くに対応するため、ゲーム開発者側では新しい開発言語を一から覚えるようなことにはならないと述べた。
DeLouraによると、CellのグラフィックスはPC用ゲームですでに広く利用されているOpenGLライブラリから派生したものを利用することになるという。ソニーは現在Khronos Groupというソフトウェアコンソーシアムと共同で、OpenGLの一種でインタラクティブコンテンツ用に最適化されたOpen GL/ESの開発を進めている、とDeLouraは述べた。
「OpenGLは巨大で、ゲーム用には必要ないものが多数含まれている。われわれが開発したマシンはゲーム用であり、CAD用ではない」(DeLoura)
Cell向けのプログラム開発には、グラフィックチップの最大手ベンダーであるNvidiaが開発したCg言語も採用される。Cgはハイレベルのビジュアルエフェクトを実現するために考えられたもの。また、プログラマーはCellが発揮する性能の大半を左右する8つの「SPE(Synergistic Processing Elements)」を、CやC++の標準的なツールでも制御できるようになる。そのため、PlayStation 2の場合のようにアセンブリレベルのプログラミングを求められることはない。
一方、新たに用意されるツールのなかにはColladaがある。XML (extensible markup language) の一種であるColladaは、ゲーム用の資産を記述するための標準的なフォーマットとして、ソニーが主要な開発ツールメーカー数社と開発を進めているもの。ゲーム開発者は、Colladaを利用することで、新しいゲームをつくるたびに毎回同じビジュアルエフェクトをつくり直す手間が省けるようになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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