現在では記者クラブの会員証も少しは手に入れやすくなっている。昨年行われた民主・共和両党の全国大会で、多くのブロガーが活躍したのはその良い例だ。しかし、それでも全く障害がないというわけでもない。保守系のニュースサイトWorldNetDaily.comは、憲法修正第一条をめぐる裁判を起こすと記者クラブに脅しをかけ、それでやっとKnight RidderおよびColumbus Dispatchの元記者を受け入れさせることができた。おかしなことに、Jeff Gannonはもっと大きな成功を楽しんでいる。
別の形で法的なえこひいきがみられる分野としては、連邦選挙法に関するものもある。連邦選挙委員会のメンバーであるBradley Smithはインタビューのなかでこの件について警鐘を鳴らしていた。新聞やテレビによる支持は政治活動とは見なされないが、これは連邦法で報道の例外扱いが認められているからだ。
この例外規定は、「放送(局)、新聞、雑誌その他の定期刊行物」にしか適用されないため、ブロガーは辛い立場に立たされることになるとSmithはいう。「これは現在ブログを書いている人々やインターネットの核心を突く、本当に厄介な問題になっている」とSmithは述べている。
ワシントンでは最近、従来のメディアが長い間享受してきたのと同じ保護の一部をブロガーにも与えるべきではないかという問題をめぐって議論が戦わされている。
先ごろ提案された2つの法案は、主にオフラインのジャーナリストを対象とする連邦の保護法をつくることを求めている。このうちChristopher Dodd上院議員(民主党、コネチカット州選出)が起草した「Free Speech Protection Act」では、その対象を「ニュースや情報を一般に広める電子的な手段」にまで拡大している。もうひとつの、Richard Lugar上院議員(共和党、インディアナ州選出)が提出した法案では、これより対象の範囲が狭く、従来のメディアだけに限られているようだ。
何が報道かを定義するのは決してやさしいことではない。そこには政府による許認可制度を事実上認めてしまうというリスクも存在する。連邦控訴裁のある判事は先月、ジャーナリストとブロガーの線引きを明確にしようとする試みはどれもひどく難しいだろうと、警鐘を鳴らした。
ジャーナリストから法律学の教授に転じたLinda Bergerの手になるレビュー記事では、ある人間が「ジャーナリズムのプロセスに従事している」かどうかについての定義が示されている。
これは、ジャーナリストであるか否かの判断を政府の手に委ねるという問題を回避するリーズナブルな定義のようだ。これは完璧ではないかもしれないが、ブロガーやウェブジャーナリストが今日受けているような劣等市民の扱いよりはずっとマシなものに思える。
筆者略歴
Declan McCullagh
CNET News.comのワシントンDC駐在記者。以前は数年間にわたって、Wired Newsでワシントン支局の責任者を務めていた。またThe Netly News.やTimes誌、HotWiredでも記者として働いた経験もある。
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