ニューヨーク発--医療費請求事務用のソフトウェアを販売する2KMedicalBilling.comの社長、Tammy Harrisonによれば、同氏はクリック詐欺の被害に遭っており、サポートが必要だという。
Harrisonは、GoogleとYahooに掲載した自社の検索広告を、ライバル会社が繰り返しクリックしていることを突き止めた。これは、同氏の会社の宣伝費を浪費させ、同時にライバルの表示順位を上げるための策略だった。GoogleとYahooは不正行為に対する補償を掲げているため、同氏は両社に裏付けとなるデータを送って損害の一部を取り戻し、また一方のサービスからはそのライバルを追い出すことができた。
Harrisonは、当地で開催されたSearch Engine Strategiesカンファレンスのクリック詐欺に関する討論会で、「200時間以上を犯人探しに費やし、売上にも最低10万ドルの損失があった。お金については大半を取り戻せた」と語った。
このほか、聴衆のなかには自分の会社が不正なクリックにより、およそ30万ドルの損害を被ったという人間もいた。「この不正行為は、商売をする上で避けて通れない問題になっている。検索エンジンを訴え始めると、逆にトラフィックを遮断されてしまうからだ」とこの人物は不満を口にした。
この討論会の司会を務めたOptiem社長のJeffrey Rohrsは、「『クリック詐欺被害者の会』でも設立する必要があるかもしれない」と述べて会場を笑わせた。
検索広告業界の売上は今年40億〜50億ドルに達すると見積もられているが、クリック詐欺はそのなかで避けて通れない現実となっている。検索広告はGoogleやYahooなどの企業にとってドル箱事業となっているが、利益のあるところには、それを狙うものが出てくる。
クリック詐欺の犯人らは、スポンサー付きリンクがクリックされるたびに広告主が検索エンジンに料金を支払わなくてはならないという点を悪用している。たとえば、「医療費請求用ソフトウェア」という言葉の場合、その検索結果のページに表示された自社の広告リンクが1回クリックされるたびに、広告主には約8ドルのコストがかかる。また、なかにはサードパーティのウェブサイト運営者と費用を折半して広告を出しているところもある。そして医療や金融、法律といった広告料金の高い業界では、Googleなどの広告ネットワークから利益を上げるためだけの目的でつくられた偽サイトが数多く登場している。
クリック詐欺が検索エンジン各社にどれほどの金銭的な負担を強いているかは、誰にも分かっていない。GoogleやYahooなどでは、見つかった不正行為の件数やそれに関する補償額などの数字を明らかにしていないからだ。しかし、こうした不正行為が業界全体の売上の5〜20%に達する可能性もあると推測する人々もいる。
Snap.com社長のTom McGovernは、「これは10億ドル規模の問題だ」という。同社は、有料検索の草分けであるOverture Servicesを立ち上げたIdealabの支援を受ける、比較的新しい検索エンジンだ。
広告主の側にとっては、自社サイトや広告キャンペーンへのトラフィックを定期的に精査し、問題のクリックを見つけだした上で、広告を掲載した検索エンジンに返金を要求することになるため、クリック詐欺はとりわけ大きな頭痛のタネになっている。さらに、広告主のリンクをクリックするようにプログラムされたオンラインのロボット(もしくは「ボット」)は発見が難しいため、この詐欺がいっそう深刻な問題になることも多い。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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