サンフランシスコ発--IntelがEntertainment PCの見直しを進めている。
同社は以前、「Entertainment PC」(EPC)というリビングルーム向けのコンピュータを発表していた。EPCは、ビデオデッキのような外見で、DVDプレイヤーやデジタルビデオレコーダー、メディアファイルのストレージ機能を兼ね備えている。しかし、このマシンへの反応が芳しくないことから、Intelはデザインや機能を見直し始めていることを、同社のDon MacDonald(ホームプロダクトグループ、ゼネラルマネージャ)が明らかにした。
同氏によれば、未来のリビングルームPCは、サイズがもっと小さく、よりスタイリッシュなものとなり、価格もさらに下がるという。また、こうしたPCが映画配信や他のコンテンツ提供サービスと統合される可能性さえある。さらに、PCを「パソコンくさくない」ものに変えることも同じくらい重要だという。
「そういった製品をエンターテインメントPCと呼ぶべきかどうかは、自分でも分からない」とMacDonaldはインタビューのなかで語った。「リビングルーム向けのPCというと、どんなものでも反射的に抵抗感を持たれてしまうと思う」(MacDonald)
Intelの新しい方向性を示す1つの例は、今回のIDFで披露された正方形のプロトタイプで、これはApple ComputerのMac Miniとよく似たデザインになっている。
EPCは、ユーザーがためらいなくリビングルームに持ち込んだり、プラズマテレビと並べて設置できたりするように設計されていたとMacDonaldは言う。EPCは比較的小さなサイズに収まっていた。これは、従来のデスクトップ用プロセッサの代わりに、これから登場するノートPC用チップ「Yonah」を中心としてプロトタイプを開発したためでもある。通常はデスクトップ用のチップの方が消費電力が多く、冷却ファンやヒートシンクも必要となる。
また、EPCは一般消費者にアピールすることを狙って、600ドル台で販売できるように設計されている。このマシンは、価格を抑えるためにデスクトップ用のメモリを採用した結果、ノートPC用メモリを使う場合と比べてコストが約20ドル安くなっている。またハードディスクについても、ノートPC用よりも安い3.5インチのものを搭載している。
Intelは、このPCの販売は行わない。その代わりに同社は、PCメーカー各社との間でこれを叩き台に商用版を作るかどうか、また作るとしたらどう販売するかについて議論を進めることになる。
EPCは、ビデオ・オンデマンドのようなサービスと組み合わされることにもなりそうだ。実際に、ある大手映画会社がIntelと共同でコンテンツサービスの開発に取り組んでおり、早ければ今年中にもこのサービスを開始する予定だ。
ほとんどのケーブルテレビ会社は現在、セットトップボックス経由でコンテンツを配信している。だが、PCにセットトップボックスと同じ役目がこなせない理由はない。新しいタイプのコンテンツ配信サービスの登場や、高品位(HD)テレビの普及に伴い、リビングルーム向けのPCにも新しいアップグレードの波が押し寄せると予想され、それが新世代のPC需要につながるという持論を、MacDonaldは披露した。
ただし、PCを書斎以外でも使われるものにすることには、文化的な障害も存在するようだ。
「みながリビングルームにはPCを置きたくないと思っている。たとえば、息子に『リビングルームには何台のPCがあるだろう』と尋ねたとすると、『ゼロ』という答えが返ってくるだろう。現実にはすでに2台--XboxがTiVoがあるというのに」(MacDonald)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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