米Yahoo!は創業10周年を記念してユーザーにアイスクリームを振る舞っているようだが、日本のヤフーは株主に対して初めて配当金を支払うことを決めた。3月3日の取締役会において、2005年3月期に株主優待制度を廃止する一方で、配当を実施することを決議したのだ。
これまでヤフーは、利益成長していても内部留保の充実に努めてきたために配当金を実施してこなかった。内部留保とは、税引き利益(純利益)から社外に分配される金額を差し引いた残金のことで、通常は積立金というかたちで留保される。一定の資金を留保することによって、経営リスクに対処しつつ財務基盤を充実させることを狙うとともに、将来の積極的な事業展開のために再投資に回されることもある。
つまり、積み立てた資金パワーを元にして業績を向上させるので、そうなれば必然的に株価が上昇し、株主利益(含み益や値上がり益=キャピタルゲイン)につながるとする考え方だったわけだ。ちなみに、配当金を実施した場合は、税引き利益からその配当総額が引かれるため、そのぶん内部留保は減少する。
こうした考え方から、赤字ではなくても配当金を実施していないインターネット関連企業は日米ともに多く、また配当金を実施していても額が少ないことが多い。たとえば、米Yahoo!は配当金を実施していない。日本ではライブドアが実施していない。楽天は1株あたり年間配当金250円を実施しているが、配当利回り(株価に対する配当金の割合)は3月3日現在で0.28%とそれほど高くはない。グローバルメディアオンライン(GMO)も同7円配当で0.26%だ。
ヤフーでは、株主への利益還元の基本方針としては「これまでどおり企業体質の強化や将来の事業展開のための内部留保を中心に据える」としているが、「毎期確実な利益を生み出せるように努め、その業績に応じた弾力的な利益配当も同時に実施していくことにした」と言う。そこで、連結純利益の10%を配当性向(配当金総額に振り向けるの割合)のめどとして1株あたりの配当金額を決定し、2005年6月に開催予定の定時株主総会に提案する。
ヤフーは、2005年3月期通期の連結決算における税引き利益の見通しを353億5500万円〜365億500万円としている。このうち10%が配当金に割り当てられるとすれば、1株あたりの配当金は468円〜484円程度(配当利回り0.09%)になると試算できる。
なお、1株以上保有している株主に対してヤフーのオリジナルグッズを贈呈してきた株主還元については、株主からの要望を勘案し、公平な利益還元のためには現金による配当実施が有効であると判断した結果、廃止することにした。2004年9月30日現在の株主に対しての優待品の送付が最後となる。
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