来期事業計画発表のNTT、株価は50万円を超えるのか

 NTT東西2社は3月1日、来年度(2006年3月期)の事業計画を明らかにした。事前の市場関係者の予想では、固定電話の基本料金における競争激化で、東西両社とも来期は赤字転落の懸念も取り沙汰されていた。それが両社は来期の黒字見通しを発表、2日のNTTの株価は前日比1万円高の46万1000円と上昇をみせ、続く3日も前日比1万5000円高の47万6000円と連日の大幅続伸となっている。日経平均株価が8カ月ぶりに1万1800円台を回復するなど、全体相場が回復基調となるなかで、NTTの株価も50万円の大台を超えることになるのだろうか。

 今回、総務大臣に認可申請された来年度のNTTの事業計画によると、東西両社合わせての売上高は、今期見込みに比べて2640億円の減収(NTT東が1400億円、NTT西が1240億円)が見込まれているものの、利益面で黒字を確保する見通しだ。

 利益面での黒字確保のポイントは、コストの削減の積極化にある。NTT東は一般経費ならびにグループ内の業務委託費用などの物件費用をそれぞれ5%削減するとしており、NTT西についても同様に4%の削減を計画している。この結果、来期の営業費用については2社で1360億円(NTT東750億円、NTT西610億円)の削減を見込んでいる。

 足元の業績も好調な推移をみせている。NTTは来期の事業計画の発表に併せて、今3月期の業績についても上方修正した。主な上方修正の背景となっているのはアクセスチャージの事後清算に伴う収入の上ブレで、NTT東西両社で売上高620億円が上方修正された。これに伴い経常利益も90億円の上方修正となった。

 また、来期の設備投資については、前期比で200億円減の7800億円(NTT東は4000億円、NTT西は3800億円)と小幅減少するものの、光ファーバー関連の投資は前期比400億円増の3300億円としており、2010年にFTTH(家庭レベルまでの光ファイバーによる接続)3000万回線を目指した光関連設備投資への積極対応ぶりが際立っている。

 今回のNTTの事業計画の発表と株価の上昇について、市場関係者は「積極的なリストラによって、NTT東西両社の来期の業績で赤字が回避される見通しとなったことは、ポジティブサプライズと受け止められている。今後、国内大手・準大手初証券や外国証券から、NTTに対して比較的好意的な調査レポートが数多く出てくる可能性がありそうだ。これは、来年度の早い時期にもNTTの政府保有株の最後の売り出しが実施されることへの地ならしおよび陽動作戦との見方もできる。つまり、証券各社は政府保有株の売り出し幹事で有利なポジションを占めようと、調査レポートなどでNTT株への貢献をアピールすることになる。これにより、NTTの株価が上昇すれば、歳入不足に悩む政府としても売却額がカサ上げされてうれしい限りということにもなる」としている。

 来年度の政府保有株の売り出しにかけて、株価が50万円を超えてくる可能性がかなり高まってきたようだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]