多くの人々にとって、RFIDチップを人体に埋め込むことは作家George Orwellが「1984年」のなかで描いた世界そのものを意味するかもしれない。しかし、RFIDチップが埋め込まれた人の皮膚を実際に見ると、蚊に刺されたような跡しか残ってない。
Virtual Corporationの幹部Joseph Krullは米国時間1月10日、VeriChipのRFIDタグを皮膚の下に埋め込む手術を受けた。手術した箇所を見ると、そこには、小さな赤い点のような傷しか残っていない。
同氏は、サンフランシスコで開催中のRSA Security Conferenceに出席し、「ハチに刺されたような感じだった。局所麻酔をしてから注射を打っただけだ」と語った。
Joseph Krullの腕には蚊に刺されたような跡しか残ってない |
Krullは、医療目的でチップを自分の体内に埋め込んだ。同氏は2種類の薬に対するアレルギーがあるほか、左目の下にはスキー事故にあった際の処置として、小さな金属プレートが埋め込まれている。医者は緊急時に、チップにリーダーをかざすことによって、16桁のパスワードを入手できる。これを使ってウェブサイトにアクセスすれば、Krullの氏名、担当医、緊急連絡先などのさまざまな情報を入手できる。
Krullにとって特に重要なのは、医師に金属プレートの存在を知らせることだ。Krullの左目はいつも開いたままの状態になっている。この情報がないと医師が誤診し、場合によっては頭蓋骨にドリルで穴を開け始めることにもなりかねないと同氏は語っている。
大半の人々と同様に、VeriChipから無償でチップの提供を受けたKrullも、チップの概念については不安を感じることを認めている。友人や、同僚のセキュリティ専門家からも潜在的な危険性を警告されたという。
それでも、セキュリティ上のリスクはコントロールできると同氏は語っている。例えば、同チップには1つの情報しか入っていない。ウェブサイトのパスワードの役割を果たす数字だけだ。そして、このウェブサイトにはユーザーがそこでの公開に同意した情報しかない。Krullの場合は重要な医療情報だ。
もしほかの情報もチップに埋め込むと言われたら「真っ先に手を引くだろう」とKrullは語っている。
このチップを読み取るには、チップの半径3インチ以内でしか反応しないリーダーが必要になる。
「地下鉄のなかで、他人が情報を求めて忍び寄って来るとは心配していない」(Krull)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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