ハーバード大学医学部(Harvard Medical School:HMS)は21日(米国時間)、最高情報責任者のJohn Halamka博士が2004年12月に、VeriChipという人体埋め込み型IDチップを自らの体内に埋め込んだと発表した。
VeriChipは米粒大の大きさで、腕の脂肪組織に埋め込めるように設計されている。同チップをバーコードのようにスキャンすると、氏名、血液型、医療記録といった個人情報を引き出すことができる。
また同チップは、クレジットカード番号や購買の傾向といった情報にもリンクさせることができる。そのため、スコットランドのグラスゴーにあるナイトクラブでは、常連客にチップを埋め込むよう勧誘を始めた。Bar Sobaというこのクラブの話では、VeriChipを導入することにより、顧客は財布を持たずに来店でき、ドアを通過する際にチップがスキャンされると同時に、好みのドリンクが用意される、といったサービスが可能になるという。
VeriChipは、Applied Digital(本社:フロリダ州パームビーチ)という企業の子会社だ。Applied Digitalは、人体埋め込み型IDチップの他にも、家畜やペットの追跡用に使う埋め込み型チップを開発している。これらのチップは全て、RFID技術を利用したもの。
RFID技術は、迅速な支払いが可能な料金支払いシステムや各種アクセスカードによく利用されている。またWal-Martなどの大手小売チェーンでは、在庫の監視や万引防止に同技術を採用している。
米食品医薬品局(FDA)は2004年10月に、VeriChip製チップを医療目的に利用することを許可した。VeriChipは、アルツハイマー病、糖尿病、心疾患といった複雑な治療を要する病気の患者をターゲットにしている。
ハーバード大のHalamka博士は、現役の救急治療室担当医師。同氏によると、VeriChip製チップは、患者が意識不明や無反応の場合が多い緊急時における治療の迅速化にも有効で、さらに患者の治療や医薬品投与におけるミスの防止にも役立つ可能性があるという。
Halamka博士は、VeriChipや同社の親会社とは一切、金銭的関係はないとしている。
Halamka博士以外に同チップを体内に埋め込んだ人物としては、メキシコの司法長官とその部下らが挙げられる。スペインのあるナイトクラブは、スコットランドのBar Sobaよりも早い2004年の4月から、同チップの埋め込みの勧誘を行なっている。VeriChipによると、同社が2004年7月に行なった最新の集計では、同チップの累積販売総数はおよそ7000個で、そのうちのおよそ1000個がすでに人体に埋め込まれているという。
しかし、人体にチップを埋め込む行為に対しては、政府による国民の監視などに使われるおそれもあることから、プライバシー擁護団体などから批判の声も上がっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス