サイバー・コミュニケーションズ(CCI)の業績が好調な推移をみせている。同社はインターネット広告関連サービス業界でトップの地位を占めており、今後も継続的に業績の高い伸びか期待されている。
日本でも、インターネット接続サービスの世帯普及率が約90%に達するなかで、インターネット広告への認知度が急速に向上し、ネット広告市場は金額ベースで年率25%以上の高い成長を続けている。こうした追い風に乗ってインターネット広告代理店大手のCCIの業績は、継続的に高成長が続くことになりそうだ。
同社が1月25日に明らかにした2005年3月期第3四半期(2004年4〜12月)の連結業績は、売上高166億円(前年同期比60%増)、経常利益5億9500万円(同2.1倍)、純利益3億3900万円(同2.4倍)と非常に好調なものとなった。これは、主力のウェブ広告の売上高が130億5500万円(前年同期比48.2%増)と50%近い大幅な増収となったことが寄与した。広告主数自体は、前年同期比8%増の1375社と1けた台の増加にとどまったものの、広告件数は同27%増の1万7758件と1社当たりの広告出稿数が拡大している。
業績が順調な拡大をみせているのは、幅広い広告到達速度を求める広告キャンペーンや、新規広告主の広告出稿を順調に取り込んだことから、大手ポータルサイトからの引き合いが順調に推移したほか、同社の取引先となる新聞社、テレビ局、雑誌社などのコンテンツ系サイトが提供する質の高いコンテンツやユニークなユーザーセグメントが評価されたことが寄与した。また、クライアントの業種別では、従来の情報・通信、金融・保険などから、食品、自動車、化粧品・トイレタリー、外食など、より幅広い消費者向けの業種への広がりをみせていることが特徴だ。
会社側では、いまのところ9月中間期決算発表時点での今3月期の業績見通しを据え置いているものの、第3四半期の好調な業績推移に加え、年明けの1月以降も順調な受注拡大が継続していることから、今3月期の連結業績は上方修正となる可能性が濃厚となっている。さらに、来期もインターネット広告市場が年率25%程度で成長すると想定すれば、2006年3月期は連結経常利益で12億円程にまで拡大することになりそうだ。
同社の戦略で特に注目したいのは、事業領域の拡大を積極的に図っている点だ。連結対象の子会社である「インストア・コミュニケーションズ」は、大手スーパーマーケッなどの店舗で行われるセールスプロモーションをトータルプランニングする企業で、すでに第1〜3四半期で期間損益が黒字化している。また、連結子会社「電通イーリンク」は、個人のホームページなどに掲載されたバナー広告を通じて商品などが購入された場合にクライアント企業からホームページ所有者への報酬が支払われるアフィリエイトプログラム(成果報酬型広告)など新しいタイプのネット広告の提案営業を行っており、すでに昨年10月から単月ベースでも黒字化している。このほか、2004年11月にはイベントプロモーションの企画・運営を行う「スリーピー」を子会社化(出資比率90.5%)、同12月24日には折り込みチラシの制作を手掛ける「電通テーブルメディアコミュニケーションズ(TMC)」を、親会社の電通などと共同出資で設立している。
CCIの株価は今年に入って17万円台から急速な上昇をみせ、1月24日には23万8000円と昨年7月以来の高値水準となった。ただ、その後の株価は20万円水準にまで低下しており、この水準からは徐々に株価が上昇回復に向かう可能性が高そうだ。
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