米科学者、角砂糖大の原子時計を開発--1秒の誤差に300年

Michael Kanellos (CNET News.com)2005年02月09日 12時02分
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 角砂糖大の原子時計を開発した研究者が、ここで用いられた消費電力削減技術はいずれ携帯電話やその他の機器に応用されるだろうと話している。

 ミシガン大学教授のClark Nguyenは、サンフランシスコで開催中の国際固体素子回路会議(International Solid State Circuits Conference:ISSCC)で、この原子時計の詳細に説明した。同教授によれば、この時計は1日の誤差がわずかに1ミリ秒で、1秒の誤差が生じるには274年から300年かかるという。

 誤差に関しては、3000万年に1秒という性能を誇る原子時計「NIST-F1」にかなうすべもないが、ただしF1は設置面積が約3.7平方メートルもあり、500ワットもの電力を消費する。

 これに対し、今回発表になった試験的な原子時計は、体積が1立方センチメートルと格段に小さく、約75ミリワットの電力で動作するため、ごくふつうのバッテリで動かすことが可能だ。この原子時計はDefense Advanced Research Projects AgencyとNational Institute of Standards and Technologyの協力を得て開発された。

 Nguyenは、精度を高めながらも消費電力は30ミリワットにまで削減することが、最終的な目標だと述べた。

 極小でエネルギー効率にもすぐれた原子時計は、シグナルの調整が容易なことから、多くの機器の性能を向上させると言われている。たとえば携帯電話では、必要なシグナルをより素早く受信でき、反対に受信したくないシグナルは拒否できるようになるかもしれない。ちなみに、現時点ではGPSシステムを利用して正確な位置を把握する際、必要なシグナルを受信するまでに数分かかる。

 時刻が正確であれば、距離の測定にも誤差が少なくなる。さらに、衛星から受信機へシグナルを送る時間が短くなれば、消費電力もそれだけ少なくて済む。

 「この原子時計を利用すれば、そうしたシグナルは1秒で受信できる」とNguyenは言う。エネルギー効率の向上はある意味で小型化の副産物といえる。この原子時計が正確な時を刻めるのは、メトロノームのような規則性をもって異なるエネルギー状態を遷移するセシウム原子の特性を利用しているからだが、セシウム原子は原子時計の中のベイパーチャンバという容器中で蒸気化される。このセシウムの蒸気をつくるには、摂氏80度まで加熱する必要がある。

 セシウム蒸気で満たされた空間(ベイパーチャンバ)の奥行きが2センチの場合は、これを15ワットの電力で摂氏80度まで熱するのに15分かかる。今回の試験的原子時計に用いられたベンパーチャンバは一面が0.6平方ミリメートルで、摂氏80度に達するのに3秒強しかかからず、また電力も数ミリワットで事足りるという。

 さらに、ベイパーチャンバには、セシウム原子がたがいに衝突したり、壁にぶつかったりしてエネルギーを消費してしまわないように、緩衝ガス(バッファガス)も注入されているそうだ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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