ブログ作成ツールのMovable Typeや、ブログのASPサービスTypePadを提供するなど、ブログに特化したサービスを行うSix Apart。同社の技術は、日本でもニフティのブログサービス「ココログ」や、NTTコミュニケーションズの「ブログ人」に採用されているほか、日立製作所の企業向けブログ「BOXERBLOG」などでも採用されるなど、企業に向けたライセンス提供も進んでいる。同社の共同創業者 兼 社長のミナ・トロット氏、同じく共同創業者 兼 CTOのベン・トロット氏、そして同社CEOのバラック・バーコウィッツ氏の3名が来日し、Six Apartの方向性について語った。
同社は今年に入り、米Danga Interactiveの運営するブログサービスLiveJournalを買収するなどして、事業を拡張している。LiveJournal買収の理由についてミナ・トロット氏は「ユーザー層の拡大に結びつくため」という。「Movable Typeは主に大企業向け、またはパワーユーザーに向けたもの。TypePadは中小規模ビジネスや一般コンシューマーがターゲットとなっている。今回買収したLiveJournalのユーザー層は、これらの製品より若く、10代中頃から20代が中心で、女性が多いのも特徴」と同氏。技術的な面では、「LiveJournalは、ブログの公開レベルをユーザーが自ら設定できるなど、プライバシー機能に優れている。このようなセキュリティは重要で、Danga Interactiveの設立者、ブラッド・フィッツパトリック氏をSix Apartのチーフアーキテクトとして迎えることも重要な意味を持つ」と、CTOのベン・トロット氏はいう。
Six Apart 共同創業者 兼 社長 ミナ・トロット氏(左)と、同 共同創業者 兼 CTO ベン・トロット氏 |
LiveJournal、TypePad共に一般ユーザーをターゲットとしているが、顧客層はあまり重なっていないという。「ブログ市場はまだ幼少期にあり、どの製品が一番受け入れられるかを判断するのはまだ早い。今の段階では、大企業向けから一般ユーザー向けまでさまざまな製品を提供した方がよいという考えだ」とベン・トロット氏。現在同社が抱えるユーザー数は、LiveJournalの買収により100万から700万へと大きく拡大したという。
創業2年という若い企業でありながら、既に買収を行うことで製品ラインを3つに拡大し、米国以外のグローバル市場でのサービスも開始するなどして積極的な事業展開を行うSix Apartだが、同社の成功の秘訣はどこにあったのだろう。ミナ・トロット氏は、「タイミングが良かったことも大きな要因」と述べる。多くのインターネットユーザーがブログに興味を持ち始めた時期であったこと、さらに2001年に発生した米国同時多発テロの影響もあり、自分の意見を主張する場を求めた人が多かったことなどが挙げられる。また、デザインやシステムの堅牢さがユーザーに受け入れられたことも、同社が多くのユーザーに支持されている理由のひとつだとミナ・トロット氏はいう。
さらに、ブログを手がける他の多くの企業が、多くの事業の一部としてブログサービスを提供している中、同社はブログに特化していることも強みだとしている。また、ビジネスとして会社を設立する前からMovable Typeは多くのユーザーを抱え、ブログツールとしてのブランドが確立していたことも同社の順調な成長に貢献した。「全くゼロの状態から始めるスタートアップとは違い、すでに市場を熟知した状態で始めることができた」とミナ・トロット氏は説明する。同氏はまた、会社を成長させるためのノウハウを持つCEOを迎え入れたことも大きいとしている。
Six Apart CEOのバラック・バーコウィッツ氏 |
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