Netscapeが米国時間17日に、フィッシング詐欺を阻止する目的で設計されたウェブブラウザ「Netscape 8」と、デザインが一新されたポータルサイトのNetscape.comをそれぞれベータ版の形で公開する予定だ。Netscapeは現在、Time Warner傘下のAmerica Onlineに属する部門の1つとなっている。Netscapeは新しいブラウザを通して、MicrosoftのInternet Explorer(IE)からシェアを奪取する構えだ。
Netscapeブラウザは、Mosaicブラウザの開発者によって10年前に作られた。Netscapeブラウザは、かつては80%以上の市場シェアを誇り、ブラウザ界を支配していた。しかしその後、MicrosoftのIEが市場を席巻し、現在ではIEが市場シェアの90%以上を占めていると、大抵の調査でいわれている。
そして今度はIEが、MozillaのFirefoxブラウザの登場により、徐々にシェアを落としている。昨年11月にリリースされたFirefoxのダウンロード件数は2000万回を上回っている。
IEのセキュリティ脆弱性がよく指摘されることを受け、Netscapeをはじめとするブラウザソフトメーカーは、セキュリティを自社ブラウザのセールスポイントにしようとしている。
例えばNetscapeは、悪質と思われるサイトのブラックリストを頻繁に更新してNetscape 8にフィードするよう、さまざまなセキュリティ企業と交渉をすすめている。悪質なサイトとは、スパイウェアや有害なプログラムをばらまいたり、フィッシング詐欺を実行したりするために立ち上げられたサイトのことだ。ブラックリストの提供を受けることで、Netscape 8を使うユーザーがこのような危険なサイトにアクセスした場合にも、ブラウザが警告を発したり、Active X、Java Script、Cookieなどの設定を無効にしたりするなどのセキュリティ対策を講じることが可能になる。
逆に安全と思われるサイトの情報はホワイトリストに載る。ユーザーがホワイトリスト上のサイトにアクセスした場合には、アドレスバーに青信号のアイコンが表示される。安全性が分からないサイトには黄信号が表示される。
Netscapeは、社内の開発スタッフをレイオフしてからはブラウザ開発業務をカナダのソフトウェア開発企業Mercurial Communicationsに外部委託している。フィッシング対策機能をもったブラウザを提供するのはNetscapeが初めてではない。IEのエンジンを利用するブラウザシェルを提供するDeepnet Explorerという企業は先月、このブラウザシェルに自社開発のフィッシング対策機能を追加している。
Netscapeはフィッシング対策機能で、IEとFirefoxの両ブラウザとの差別化を図る。同社はこの機能を利用して、市場シェアを伸ばしたいと考える。
Netscapeは自らのブラウザをMicrosoftに次ぐ第2位のブラウザというが、同社に近い情報筋によると、Firefoxが「ものすごい速さで」シェアを伸ばしているという。
Netscapeは、ブラウザとポータルのベータ版を17日に公開することを認めたが、それ以外のコメントを控えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」