マイクロソフト、ついに独自サーチエンジンを始動

Stefanie Olsen(CNET News.com)2005年02月01日 21時28分

 Microsoftは米国時間1月31日、これまで利用してきたYahooのInktomi検索エンジンを、自社製のウェブ検索エンジンに置き換えた。同社はまた、Googleより高い認知度を獲得する目的で、大規模な広告キャンペーンを開始する。

 かねてからの予想通り、MicrosoftのMSNは、研究所で開発したウェブ検索技術を、25カ国のホームページで利用し始めた。これに伴い、これら25カ国のホームページはデザインが見直されている。2年半をかけて開発されたこのMSN Searchは、デザインの見直しを受けて動きが軽快になった各サイトの目玉となる。また、自社開発のウェブ検索技術は、Microsoft最新の広告キャンペーンでも大々的にとりあげられる予定だ。同社は、テレビや印刷媒体、インターネット、屋外広告を使って、大々的な宣伝活動を行う。

 MSN SearchのバイスプレジデントChristopher Payneは同広告キャンペーンに投入する予算額を明らかにしていない。しかし、同氏は米国、英国、日本の在住者の90%がこの広告を目にすることになるだろうと述べる。例えば、同社のテレビ広告は、スーパーボウルやアカデミー賞、グラミー賞などの中継中にも放映される予定だ。

 Microsoftは、この広告キャンペーンや新しいサイトに加え、自社の強力なマーケティング力に物を言わせ、ウェブ検索市場に君臨するGoogleからユーザーや広告主を奪いたいと考える。Googleは過去5年間で大幅に成長したが、Yahooをはじめとする競合企業が力をつけてきたことから、同社のリードはすでに縮まり始めている。今回独自の検索技術に切り替えたMicrosoftは、ブラウザやデスクトップOS市場における支配的な立場を利用しながら、競合に勝つための懸命な取り組みを進めることになる。

 「Microsoftは、ユーザーが『MSN Searchした』と言うようになって欲しいと考えている」と同業界に詳しいDanny Sullivanは述べている。同氏が念頭に置いているのは、ものや人などの検索対象を「グーグルする」という、よく使われるフレーズだ。

 また、検索エンジン切り替えにより、MSNとYahooの関係が終わりを告げることになりそうだ。YahooのInktomi検索エンジンは過去3年以上にわたりMSNで使われてきた。また同じくYahooの子会社であるOverture Servicesもこれまで数年間、ターゲットを絞ったテキスト広告をMSNに提供してきている。Microsoftは、韓国や日本のサイトでは、今年もうしばらくYahooの検索技術を利用し続ける予定だ。MSNのPayneはOvertureからの広告についてはいかなる切り替え計画についてもコメントしていない。しかし両社の契約は2006年に期限切れとなる。さらに、MSNは自社での検索広告販売にさらに力を入れている。

 検索ポータル各社が最も力を入れて開発およびマーケティングを行うのは、検索関連広告だ。アナリストの推定によると、商用検索の売上は今年50億ドルに達するという。このうちMSNは市場全体の10%(5億ドル)以上を占めている。より多くのユーザーに同社の検索エンジンを利用させることができれば、同社はさらに大きなシェアを獲得できる。

 市場をリードしているのは依然としてGoogleだが、同社のリードは縮まりつつある。ComScore Networksが昨年12月に発表した調査によると、Googleのシェアは約34.7%で、前年前期から0.3%減少したという。これと同じ時期にYahooのシェアは27%から31.9%に増加した。またMSNのシェアは2003年12月から1年間で15.4%から16.3%へと約1%増加した。

 ウェブユーザーの心をつかむためにMSNが打ち出す戦略の1つに、ユーザーの質問に対して「答え」を提供するというものがある。他社のように無数のリンクを並べるものではないと、Payneは述べる。YahooやAsk Jeeves、Google、そしてAnswers.comなどの検索エンジンは、検索リクエストに対する答えとして、天気や娯楽関連情報、荷物の所在などの情報を表示する。それに対してMSNは百科事典ソフトのEncartaを利用して、より的確な回答を提供するという。

 MSNは、すでに150万項目の情報を提供しているEncartaに、さらに4万項目を追加し、これらを無料で検索できるようにする。またMSNは、ストリーミング音楽や「near me」というローカル検索を提供するほか、サードパーティがMSNの検索結果を配信できるようRSS機能を追加していく。

 これら全てのコストを合わせると、Microsoftがこのプロジェクトに注ぎ込んだ金額は1億ドルを超えるとPayneは述べる。さらに、Microsoftはまだ第1歩を踏み出したばかりだと同氏は付け加えた。

 「自前のプラットフォームを利用するので、今後はさまざまな事柄に早急に対処できる。今後、無数の機能改善が行われると期待して欲しい」(Payne)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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