Apple Computerが、発売間近のMac製品に関する詳細情報を公開したウェブサイトを提訴した件で、(言論の自由を規定した)米国憲法修正第1条に関する厄介な問題が浮上している、とメディアの専門家らは指摘している。
Appleは先週、同社の内部情報を暴露した姓名不詳の個人数名の他に、その行為に加担したMacファンサイトThink Secretの運営者らを提訴した。
カリフォルニア大学バークレー校のジャーナリズム大学院でNew Media Programのディレクターを務めるPaul Grabowiczは、「Appleやその他の企業が、企業秘密を理由にマスコミの発表、さらにはBlogでの書き込みさえも追及しようとしていることに対し、大変不安を感じる」と述べた上で、「仮に内部者が情報漏洩していると考えるのであれば、企業は直接彼らを追及すべきだ」と語った。
しかし、一部の法律専門家は、Appleが提訴するのも理解できるとしている。
「(企業の情報を暴露した者には)潜在的な法的責任があると考える」と語るのは、Shaw Pittman法律事務所のパートナーであるDaniel Westman弁護士だ。同氏はさらに次のように続けた。「悪意あるものが、仲介者を介在させることにより、自らの行為を隠蔽する可能性があるとの判断から、企業秘密に関する法規は極めて幅広く規定されている。」
AppleとThink Secretの広報担当は、この記事に関するコメントを控えた。
Grabowiczは、情報漏洩を摘発するために企業や政府がマスコミや組織を提訴する最近の傾向を憂慮している。同氏は、今回のAppleの提訴もその傾向の一環と捉えている。Appleは今回の提訴以前にも、すでに裁判で、Think Secretを含む3つのMacファンサイトに対する召還状発行許可を勝ち取っており、間もなく発売される同社製品についての話を書く際に利用された情報源を強制的に開示させようとしている。
Grabowiczは、どこまでが企業秘密と解釈できるのか、その限界について疑問を抱いているという。「仮に、ある記者が漏洩された情報を基に欠陥製品に関する記事を書いたら、(企業は)その記者を提訴できるのか」(同氏)
Westmanによると、不正行為や、公共の安全に対する脅威を暴露するために内部情報を漏らす内部告発者についてはある程度の敬意が払われるが、Think Secretが掲載した情報に関しては、そのような内部告発者と同様の保護が与えられる可能性は低いという。
「今回の訴訟が、(言論の自由を規定した)米国憲法修正第1条違反と解釈されるかどうか興味深い。しかし今回の場合は、違反と解釈される可能性は低いだろう」とWestmanは述べる。
Westmanは、今回の訴訟について、「『知的所有権』と『言論の自由』という、相反するテーマが議論されている。どちらにも限界はある」と述べる。
一方、Appleも、今回の訴訟は、同社の事業利益に関わるものであって、言論の自由を制限する目的で起こされているのではないと述べる。
同社は裁判所に提出した文書のなかで、「Appleは、米国やカリフォルニア州憲法で保障された言論の自由を制限しようとしているわけではない。しかしながら、これらの憲法により保障された自由は、被告の違法な行為、つまり業務上の秘密事項を不正な方法で入手し、広めることにまで適用されるものではない」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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