数々のPtoPサイトを相手取り訴訟を起こしている米映画業界の最新の標的にされたPtoPサイトが、同業界と裁判で争う決意を表明し、そのための資金提供をユーザーらに呼びかけている。
BitTorrentと呼ばれるピア・ツー・ピア(PtoP)技術を利用することにより入手可能なファイルの一覧を公開しているLokiTorrentが米国時間12月28日に、同サイト上に全米映画協会(MPAA)からの書簡を掲載した。それによると、MPAAはテキサス州の地方裁判所に同サイトに対する訴訟を起し、映画製作会社の著作権を侵害する恐れのあるビデオファイルへのリンクを削除するよう求めているという。
LokiTorrentのサイト上には、「これまで、このサイトやファイル共有全般の恩恵を受けたことがある人は、今こそ救いの手を差し伸べるチャンスだ」とあり、さらに「訴訟費用として1カ月当たり3万ドルかかると見ている」と記されている。
同サイトに掲載されている棒グラフによると、これまでに、1カ月にかかる費用総額のおよそ6割に当たる約1万8000ドルが集まったという。
一方のMPAAからは、この件について直ちにコメントを得ることはできなかった。
ファイル共有サイトが映画業界の訴訟の標的にされたのはLokiTorrentが初めてではない。昨年12月上旬には、いくつかのPtoPサイトがMPAAに提訴された後、インターネット上から姿を消している。
著作権保有者がPtoP技術撲滅運動で、最近特に注視しているのは、映画やテレビ番組などの無料コンテンツの共有に利用されているPtoPソフト、BitTorrentの「ハブ」の役割を果たしているサイトだ。
BitTorrentのPtoPネットワークでは、ダウンロードの効率化を図るために中央のサーバにインデックス情報が掲載されているが、実際のデータファイルは各メンバーのコンピュータに保存されている。例えば、ある大容量ファイルをダウンロードする場合は、すでにそのファイルがダウンロードされている他のメンバーのコンピュータから実際のデータを入手する。その結果、より高速なダウンロードが可能になり、しかも1台のサーバの回線容量に過度の負担をかけることもない。
この技術は、企業が大容量のダウンロードファイルを合法的かつ経済的に提供するための有効な手段となっている。例えば、LinuxベンダーのMandrakeSoftやXandrosが提供する無料版オペレーティングシステムは、BitTorrentを使ったダウンロードによってのみ入手可能だ。この方法であれば、企業は、多くのユーザーが一斉にソフトをダウンロードする場合に備え、費用をかけて回線容量を拡大する必要もない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」