オンラインでのマルチメディア・エンターテインメントに対する需要が高まるなか、Yahooは米国時間15日、この需要に応えるためにビデオ検索エンジンを発表する計画であることを認めた。
既報の通り、Yahooは以前からビデオ検索エンジンの開発を進めてきた。ビデオ検索エンジンとは、ウェブページや画像を探すのと同じ感覚で、インターネット上に存在するビデオクリップを検索できるようにするもの。Yahooは15日に、この検索エンジンのベータ版を、next.yahoo.comのサイトで公開した。next.yahoo.comは、同社が開発中のサービスを紹介するのに利用しているサイトだ。このページからは、Windows Media、AppleのQickTime、Real Mediaの各動画ファイルが検索できる。
Yahooのベータ版テストは、主要検索サービス各社がひそかに同様のサービスの準備を進めるなかで始まった。CNET News.comが先に報じたとおり、現在Googleではテレビ番組を録画し、これにインデックスを付すことで、番組をオンラインで検索できるようにする作業が進んでいる。また、Microsoftもビデオを対象とした検索エンジンやそのためのプラットフォームを開発している。この検索技術は、PCやテレビからオンライン上に存在するメディアファイルを探し出せるようにするものだ。さらに、America Onlineも先ごろ、Singingfishという同社のマルチメディア検索エンジンをアップデートし、自社のメインサイトにビデオ検索機能を組み込んでいる。
「大手各社はみな同じ獲物を狙っている」とAtomFilmsの創業者Mika Salmi。AtomFilmsはYahooと協力しながら、自社サイトで公開しているビデオを検索可能にする作業に取り組んでいる。
ビデオ検索が注目されている背景には、いくつかの理由がある。その1つは、現在多くのネットユーザーが家庭や職場で高速なインターネット接続サービスを利用しており、オンラインでビデオを観ることに馴染んできていることが挙げられる。また、ビデオ作品の制作やホスティング、配信にかかるコストも下がったため、オンラインで観られるマルチメディアコンテンツの数が増加したという理由もある。
さらに、インターネットが成熟し、テレビと同様のエンターテインメント・プラットフォームへと変わりつつある点も、ビデオ検索に注目が集まる理由として挙げられる。PCとテレビの機能を兼ね備えた複合デバイスの登場で、ネット経由でもビデオが観られるようになりつつあるが、この際にはコンテンツを探し出すための検索機能が不可欠のものなる。
検索サービス各社にとって、ビデオ検索を提供することはきわめて魅力的な新市場の開拓につながる。それによって、マルチメディアコンテンツを切望するユーザーに対して自社の存在感を高められることに加え、毎年600億ドルもの資金をコマーシャルに費やす各ブランドの広告主に訴求する上でも、これが役に立つからだ。大口のテレビ広告主は、コマーシャルで得られる効果の高さをよく知っており、オンディマンドによるビデオ配信が広く普及した際には、インターネットのもたらす機会を見逃さないだろう。
こうした理由から、YahooやGoogleなどの企業では、すでにハリウッドとの関係作りを進めている。ビデオをつかった広告やその配信、さらにはコンテンツの販売を成立させるビジネスモデルをつくる上で、映画会社との関係作りは欠かせないものになる。
「われわれは今後エンターテインメント業界や放送業界と協力を進め・・・最良のビデオ検索機能を提供する」とYahooのJeff Weiner(検索および市場担当シニアバイスプレジデント)は述べている。
Yahooはこのビデオ検索機能を開発する上で、独自の技術を利用するだけでなく、業界の協力もあてにしている。同社は、Creative Commons、Broadband Mechanics、AtomFilmsや他の組織と提携し、Really Simple Syndication (RSS) Mediaという新しいメディア標準を推進していく。
Yahooなどが提案しているシステムは、コンテンツシンジケート用の標準であるRSSをベースにしたもので、各コンテンツの保有者がメディアファイルを公開すると、そのRSSフィードがYahooに配信されて、検索用にインデックス付けされるという仕組みだ。Yahooによると、いづれこのシステムはユーザーが自らのサイトにビデオフィードを集める場合などにも利用できるようになるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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