カリフォルニア州マウンテンビュー発--NASAの巨大なAmes Research Centerの影に隠れるようにして立っているMicrosoftのシリコンバレーオフィスこそが、ケーブルテレビ業界を震撼させかねない技術が開発されてきた拠点だ。
SBC Communicationsのエンジニアたちが何カ月も前からここに通ってテストしていたのは、ブロードバンド回線を通してビデオを販売するためのソフトウェアだ。同社は、このソフトウェアでComcastをはじめとする大手ケーブル事業者に挑戦状を叩き付けるつもりだ。
米国第2位の電話会社であるSBCは米国時間17日、来年から提供開始する同社のインターネットテレビサービスでMicrosoftの「Internet Protocol Television(IPTV)」ソフトウェアを採用すると発表した。SBCがMicrosoftに支払う契約額は4億ドルにものぼるという。
業界アナリストらは、今回の契約が両社にとって大きな転機になると言う。また、衛星テレビ事業者との戦いが日増しに熾烈化するケーブル事業者にとっては、新しいライバルの出現を意味するとも述べる。
Microsoftは、これまで200億ドル以上もの巨額の資金を投じて、ケーブルテレビ業界からIPTV技術に対する支持を取り付けようと取り組んできたが、その取り組みの多くは失敗に終わっている。しかしMicrosoftは、SBCから契約を取り付けたことで新たな可能性を切り開けそうだ。これも、高速インターネットサービスの出現によって電話会社とケーブル事業者間の競争が激化したおかげである。
今回の契約は、「Baby Bells」と呼ばれる地域電話会社のSBCやVerizon Communications、BellSouth、Qwest Communicationsに大きな変化が起きていることの証左でもある。これらの大手電話会社は、ComcastやTime Warner Cableのようなケーブル事業者との戦いを有利に進めようと、ビデオ配信サービスに参入し始めている。
参入の背景には、Baby Bellsの音声回線販売がビジネスとして成り立たなくなっているという事情がある。またその一方では、ケーブル事業者が、ブロードバンドインターネットアクセスや音声サービスの販売で成功を収めている。これに対抗するために、Baby Bellsは既存の銅回線から、DSLやIP電話、ビデオ配信などのインターネットサービスへと販売の軸足を移している。
これらの電話会社は、単に収入源を増やしたくてビデオ配信サービスを提供するわけではない。彼らには選択肢がないのだ。
携帯電話やケーブル事業者の音声通信サービスが人気を獲得するなか、利用者の固定電話離れが進んでいる。ユーザーは、ビデオ配信サービスだけでなく、インターネット接続サービスについてもケーブル事業者のものを利用するようになっており、このことがさらに電話会社の事業を圧迫している。
「電話会社は、コアビジネスがあまりに行き詰まっているため、こういった新しいサービスに乗り出すしか道がない」と、Strategy AnalyticsアナリストのJim Penhuneは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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