マイクロソフトのエンタープライズビジネスの2004年の成果はどうだったのか。また2005年にはどのような取り組みを行うのか。マイクロソフト 執行役常務 エンタープライズビジネス担当の平井康文氏は12月15日、プレス説明会にて同社のエンタープライズビジネス戦略について語った。
平井氏はまず、2004年のエンタープライズビジネスについて振り返った。年頭に同氏が今年のフォーカス分野としてあげていたのは、統合された革新技術を実証すること、ビジネスユーザーの生産性を向上させること、マイグレーションのメリットを訴求すること、セキュリティへの取り組みを強化すること、パートナーのエコシステムを拡大することだ。
マイクロソフト 執行役常務 エンタープライズビジネス担当 平井康文氏 |
平井氏によると同社では、統合された革新技術を実証するために、セミナーやソリューションブリーフィングを開催し、大企業向けシナリオの提供や課題改善の提案、基本設計支援などを行ってきたという。またビジネスユーザーの生産性向上のために、従来のオフィスアプリケーションの枠を超えたMicrosoft Office Systemを推進し、個人の生産性向上のみならず、グループや企業全体の生産性や投資効果の最大化に貢献したとしている。
マイグレーションに関しては、UnixからWindows Server 2003へのマイグレーションが進んでいること、またリレーショナルデータベースにおいても同社のSQL Serverの売上成長率が2003年度で11.1%とされていることや(Gartner Dataquestの2004年5月のデータによる)、同ソフトがDBソフト部門の顧客満足度1位となったこと(日経コンピュータ 第9回顧客満足度調査による)などを指摘する。さらに同氏は、マイクロソフト入社前の前職で担当していたIBMのLotus NotesからExchange Serverへの移行も進んでいるとし、「移行ツールの提供が成功していることもあり、今年7-9月期のExchangeビジネスの40%以上がNotes利用企業だった」と述べる。
セキュリティへの取り組みは、セミナー等でセキュリティ推進活動を行ったほか、Windows XP SP2のリリースでセキュリティを強化した。Windows Server 2003 SP1についても、同日よりテクニカルベータ日本語版の提供をはじめたという。
また、パートナーとのエコシステム拡大に向けては、「パートナー各社のビジネスポートフォリオを組み合わせ、パートナーとマイクロソフト間のみの関係にとどまらず、パートナー同士を結びつけ、それぞれの強みを活かして1+1を4くらいにまで持って行けるよう、統合的なソリューションを顧客に提案するようにした」と平井氏は説明する。
2005年のエンタープライズ戦略
次に平井氏は、2005年のエンタープライズビジネスのフォーカス分野について語った。まず同氏は、Windows Serverが情報系システムから基幹業務で使われるようになり、現在では銀行勘定系までカバーしていると述べ、今後もミッションクリティカル分野でのマイクロソフトプラットフォームの採用を推進していきたいとしている。
このため同社では、12月1日付けで社内に分散していたミッションクリティカル分野の専門家を集結させ、MC事業推進部(MC:ミッションクリティカル)を設立したという。同部署は、「短期的なビジネスゴールを達成する組織ではなく、顧客との長期的な関係を強化するための戦略的組織だ」と平井氏。パートナーとの協業の下、メインフレームやUnixアプリケーションのマイグレーションおよび再構築に注力するという。
具体的に同推進部では、メインフレームやUnix、Oracleなどに精通した技術者が提案や設計を行い、ベストエフォート型から性能保証型のプログラムを作成するという。また、製品機能やシステム性能、RFP(提案依頼書)要件の検証などを明確化して顧客やパートナーに提示するためのフィールドテクノロジーラボ(仮称)の設立も検討中だという。
また平井氏は、同社が今後も推進するとしているSOA(サービス指向アーキテクチャ)についても語った。SOAは、ソフトウェアの再利用とアプリケーション統合技術が進化したものだが、「ソフトウェアの再利用における現在の形はWebサービスで、アプリケーション統合の現在の形はESB(エンタープライズ・サービス・バス)だ」と平井氏は説明する。そのうえで同氏は、「マイクロソフトでは、WebサービスをVisual Studio.NETで提供し、ESBをBizTalk Serverで提供する。両方を提供できるのがマイクロソフトの特徴だ」と説明した。また同氏は、WebサービスとESBをつなぐものとして、インフォメーションブリッジフレームワークという新しい基盤が2006年頃に登場するだろうと述べた。
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