周辺サービスを売れ
IBMやBEA Systems、Oracleはそれぞれ、商用版Javaサーバソフトスイートを販売している。これらの製品には、Javaアプリケーションサーバ、ウェブポータル、統合ソフト、アプリケーション開発用ツールなどが含まれている。Microsoftでも同様のWindowsサーバソフト群を販売しているが、これは同社の.Net開発モデルを基礎に開発されたものだ。これらのインフラソフトや関連ツールは、ビジネスアプリケーションの技術的基盤となっているが、ただしライセンスの取得には数十万ドルものコストがかかることもある。
大手ITメーカーはここ数年、オープンソースの代替製品への需要が拡大しつつあることに気付き始めている。すでにIBMは、Linuxやグリッドコンピューティング、さらにDerbyと呼ばれる専門的なJavaデータベースプロジェクトなどのオープンソースプロジェクトに大きく貢献している。しかし、JavaサーバスイートのWebSphereやデータベースソフトDB2といった、数十億ドル規模の売上を誇る同社のミドルウェア製品は、依然としてプロプライエタリ製品のままだ。
BEAは開発者に取り入るために、いくつかの自社製品をオープンソースにしている。しかし同社の場合も、プロプライエタリソフトが売り上げ増の原動力となっている点は変わらない。
「ソフト自体の重要性は低下しつつあり、代わりにコンポーネントの統合の重要性が増している」と語るのは、Hewlett-Packard(HP)のLinux担当バイスプレジデント、Martin Finkだ。HPは最近、JBossやMySQL、さらにHP製ハードウェア上で動作するLinuxソフト向けのコンサルティングサービスを拡大した。
ObjectWeb、Apache、さらに営利企業のJBoss製が開発する大半のオープンソースコンポーネントは、すでにソフトプログラマーらの支持を得ている。しかし、業界アナリストや企業幹部らによると、企業に採用されるか否かは、主に各製品向けの適切な商用サポートが存在するかどうかで決まるという。
そこに目を付けたのがGluecodeやSpikeSource、SourceLabsといった新興企業だ。これらの企業は、認定されたオープンソースソフトの統合型パッケージに関する契約制サポートサービスの販売をコンセプトに事業を立ち上げた。
Gluecodeは、Apacheオープンソースライセンスの下で提供されているオープンソースソフトのバンドル製品向けサポート/保守サービスを提供している。同社はJoeと呼ばれるスイート製品で、JavaアプリケーションサーバのGeronimo、ポータルソフトのPluto、データベースソフトのDerby、ワークフローソフトのAgilaなどを提供し、これをサポートするサービスを販売している。Gluecodeは、同社のスタックがIntel製IA64プロセッサ上で動作することを保証しており、ハードウェアプロバイダ各社との間でJoeスイートのバンドル/配布に関する契約を結ぼうとしている。GluecodeのCEO、Winston Damarilloは、1カ月当たり3500ドルという低料金でサポートと定期的なソフトのアップデートを受けられるJoeの登場により、既存のJava企業やMicrosoftは打撃を受けるだろうと主張する。
「サーバ側のソフトにかかるコストが(オープンソースソフト)市場の発展を阻害している。我々はそのコストをゼロにする」(Damarillo)
Damarilloによると、Geronimoアプリケーションサーバはモジュラー設計になっているため、ユーザーは必要に応じてポータルソフトや統合ソフトなどを追加導入できるという。またGluecodeは、導入/管理を容易にする管理ソフトの販売も行なっている。
SpikeSourceとSourceLabsの両社は、「LAMP」--オペレーティングシステム(OS)のLinux、ウェブサーバのApache、データベースのMySQL、開発ツールのPHPを対象としたサポートサービスを提供する予定だ。
JBossも無料で入手可能なソフトを中心にコンサルティング/サポートサービスを販売している。同社のアプリケーションサーバはJavaプログラマーの間で人気を博しており、またワークフローサーバなど、同社が開発/サポートを手掛ける製品数を徐々に拡大しつつある。
Apache、ObjectWeb、JBossは、それぞれ別個のJavaアプリケーションサーバをベースにした独自のミドルウェア製品を開発しており、オープンソースライセンスもそれぞれ異なるものを使っている。JBossは最近、同社のソフトがJ2EE(Java 2 Enterprise Edition)規格に準拠していることを保証した。GeronimoやJonasもJ2EE規格への準拠を目指している。
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