ドイツのSiemensが、史上最速のワイヤレスネットワークとうたう技術を披露した。
ミュンヘンにある同社の研究所で7日に行われたデモでは、802.11g規格の20倍となる毎秒1Gビットの通信速度を記録した。Siemensが開発したこのシステムには、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)という新しいテクニックとMIMO(Multiple Input and Multiple Output)というアンテナ技術が使われている。
同社は9月に、MIMO以外の別の送信技術を利用したデモで最大毎秒360Mビットの通信速度を達成していた。今回のデモシステムは5GHz帯で動作し、802.11g 規格の約3倍にあたる100MHzの帯域幅を使用する。これにより、Siemensのシステムは現在最も優れたワイヤレスネットワークと比べて約7倍のデータ伝送効率を実現しているという。
Siemens CommunicationsのChristoph Caselitz(Mobile Networks部門プレジデント)は声明の中で、「将来のモバイル通信システムでは、周波数帯域を可能な限り効率的に利用するとともに、送信電力を可能な限り抑える必要が出てくる。われわれの実験システムでは、OFDMと組み合わせたインテリジェントアンテナがいかに強力かを示すことができた。またその過程において、われわれは将来のモバイル通信システムで利用するモジュールも開発した」と述べている。
MIMOは、複数のアンテナを利用して複数チャネルによる通信を行うことで高スループットを実現する。Siemensのシステムでは、3つのアンテナを送信用に、4つのアンテナを受信用に利用し、スループットを前回のデモの約3倍にまで高めた。ここ数年間、複数の研究所がMIMOシステムの試験を行っているが、しかしこれには高い計算処理能力が必要とされることから、商用システムへの採用は限られていた。Siemensは、より効率的なアルゴリズムを採用したことにより、必要な計算処理能力を低減したと主張している。OFDM技術は、デジタルラジオやテレビ、ADSLで既に採用されており、ウルトラワイドバンド(UWB)標準規格の少なくとも1つには組み込まれると見られている。
同社は、この技術の販売予定については言及しなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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