シトリックスが次期製品戦略を発表、今後はオンラインサービスも

奥隆朗(CNET Japan編集部)2004年12月10日 13時07分

 シトリックス・システムズ・ジャパンは12月9日、SBC(サーバベース・コンピューティング)の現状と同社の2005年の戦略についての記者説明会を行った。SBCは、従来クライアント側で処理していた各種の処理をすべてサーバ側で実行するための仕組みだ。

 SBCが、ウェブシステムと異なる点は、ウェブ向けにアプリケーション開発・システム構築を行う必要がない点にある。SBCでは、オフィススイートや設計システムなど、従来はクライアント側にインストールして使用していた一般的なアプリケーションがサーバ上で動く。そして、それらのアプリケーションをブラウザや専用クライアントで操作できるため、開発に要する費用や時間がほとんど必要ないのが利点だ。なお、同社によれば、MetaFrameの日本での導入実績は、すでに8000社を上回るという。

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社 マーケティング本部本部長 樋渡 純一氏

 シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 本部長の樋渡純一氏は、TCO削減とセキュリティ強化の面でSBCが市場の注目を集めていることを説明。システム投資の7〜8割が運用・保守コストといわれているが、クライアントベースの環境からSBCに切り替えることによって、システムのリプレース頻度を削減でき、TCOの大幅な削減が可能であることをアピールした。

 一方、セキュリティの強化に関してもSBCが有効な策となることを説明。これは、サーバ側のデータをクライアントに保存させないようにする制御機能によって、クライアントPCの紛失などによる情報漏えいの抑止となるためだという。そして、「各種セキュリティの強化製品やカンファレンスシステムなどをラインアップとして揃えたことで、MetaFrameは、SBCの域を超えてアクセスインフラになってきた」(樋渡氏)と強調した。

 なお、樋渡氏は、2005年度には、「セキュリティの強化」「ROIの追求」「TCOの削減」をキーワードにSBCの需要が拡大すると共に、局所的な採用から全面的な採用になっていくだろうと予測している。

今後はオンラインサービスも提供予定

 同社マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャーの今野尚昭氏は、現在日本で販売されているMetaFrame製品群を紹介。今野氏は「モバイル環境の充実などでビジネススタイルに変化が起きているが、従来のクライアントベースのシステムでは、リモートアクセスなどに制限が多く、断念を迫られる要素が多い」と現状を語ったうえで、シトリックスの製品ラインアップがそれらをカバーできると説明した。

 現在、シトリックスが日本で発売している製品は4つ。その中でSBCを提供する「MetaFrame Presentation Server」、安全性の高いリモートアクセスを提供する「MetaFrame Secure Access Server」、シングルサインオンやオートログインなど利便性の高いアクセス環境を提供する「MetaFrame Password Manager」の3つが上記の制限を解決するという。

 今野氏は「3つの製品を組み合わせることによって、通信回線さえあれば、従業員がどこにいても、会社のサーバにあるアプリケーションを利用できる」と語った。そして、従来はトレードオフの関係にあった、セキュリティの強化と利便性の向上が両立できるとアピールした。

 また、MetaFrameの利用によって、管理性の向上なども期待できるほか、4つめの製品である「MetaFrame Conferencing Manager」を利用することで、リアルタイムにアプリケーションやファイルを共有し、遠隔地を結んだカンファレンスが実現できるという。このほか、米国ではすでに提供しているオンラインサービスが複数あるが、日本でもいずれ提供していく予定を立てている。

 最後に、マーケティング本部 パートナーマーケティング部長の磯貝英範氏が、今後のパートナープログラムについて解説。ハード、ソフト、SIerなど、IT業界のさまざまな企業とアライアンスやパートナー契約を結び、今後の市場開拓に努めていくことを説明した。

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