サーバベースコンピューティング市場で業界リーダーとしての地位を築いたシトリックス・システムズ・ジャパンが、新たな市場を作り上げ、今度はその市場で独占的地位を確立しようとしている。その市場とは、アクセスインフラストラクチャ市場だ。これは、複雑化している異種混在のコンピューティング環境から、必要なアプリケーションや情報へいつでもどこでも安全にアクセスできるためのシステム基盤を指す。同社は13日、この市場をターゲットとした「アクセス戦略」を日本市場で本格展開するとし、その製品群としてCitrix MetaFrame Access Suiteを発表した。
同社がIDCやMETA Groupなどの情報を基に試算したアクセスインフラストラクチャの世界市場規模は、2004年で150億ドルを超える。今後も同市場は年平均11.7%の成長を続け、「2007年には216億ドルを超えるだろう」と、シトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長の田中正利氏は述べる。
シトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長 田中正利氏 |
Citrix MetaFrame Access Suiteは、全4製品で構成される。そのひとつは、同社の主力製品であるMetaFrame Presentation Serverの最新版3.0だ。これは企業内の多種多様なアプリケーションサーバを集中管理し、場所やデバイス、接続形態にかかわらず一貫したユーザーインターフェースを実現、アプリケーション機能をサービスとして利用できるプレゼンテーションサーバだ。5年前より提供されているこの製品は、全世界で約77%の市場シェアを握っているという。最新版では、パフォーマンスや拡張性、柔軟性、管理性がさらに強化されており、マルチメディアコンテンツもスムーズに利用することができる。
このシステムは、クライアント側のアプリケーションをサーバで集中管理するため、「クライアントの管理が不要で、クライアントごとのアプリケーション追加なども必要なく、管理コストが大幅に削減できる。また、遠隔操作の際にはクライアント側にデータが残らないようにもできるため、安全に利用できる」(田中氏)という。「アプリケーションの増加や、それを使う場所や環境が多様化するなか、ビジネスの俊敏性を可能にするのがアクセス戦略だ。アクセスという切り口で情報システムを整理することは非常に重要。シトリックスでは今後もアクセスにフォーカスして、そのためのソリューションを提供する」(田中氏)
このほかに、Presentation Serverのコンポーネント製品として、リアルタイムにファイルを共有し、共同作業環境を実現するMetaFrame Conferencing Manager 3.0、パスワードで保護されたアプリケーションへの一貫したシングルサインオンを提供するMetaFrame Password Manager 2.5、ブラウザを通じてリモートから安全なアクセスを可能にするMetaFrame Secure Access Manager 2.1がAccess Suiteに含まれる。Password ManagerとSecure Access Managerは、同社の新製品となる。
Presentation ServerとConferencing Managerは5月13日より販売が開始され、Secure Access ManagerとPassword Managerは6月28日より販売が開始される。最小構成価格は、Presentation Serverが同時ユーザー5人までで24万7000円、Conferencing Managerが同じく8万4150円。Secure Access Managerの最小構成価格は同時ユーザー20人で49万3000円、Password Managerは指定ユーザー20人で30万2600円となっている。
シトリックスが現在国内で抱えるライセンス数は約30万。1ライセンスにつき約3〜4人のユーザー数がいるという。同社ではこのユーザー数を「20〜30%増加させたい」(マーケティング本部本部長 樋渡純一氏)としており、そのために、パートナー数を現在の280社から320社以上に増やす予定だとしている。またターゲット層も、メインのターゲットとなる大企業のみならず、「中小企業や、これまであまり強くなかった官公庁にも売りこんでいきたい。そのため、この分野に強いパートナーも探すつもりだ」と樋渡氏は述べた。
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