Dellでチーフ・マーケティング・オフィサー兼米国市場コンシューマー事業部ゼネラルマネージャを務めるMike Georgeの経歴は、最近のDellでは珍しいものではない。
GeorgeはITコミュニティの古株でもなければ、生え抜きの社員でもない。4年前にコンサルティング会社McKinseyからやってきた転職組だ。この経歴が示す通り、彼の頭のなかには価格設定、需要の弾力性、顧客調査に関するデータがぎっしりとつまっている。先日、CNET News.comはGeorgeにインタビューを行い、家電分野への参入と、それが市場に与える影響について話を聞いた。
--米国のコンシューマー事業の調子はいかがですか。
PCがホーム・エンターテインメントの主役となり、接続やコミュニケーションのための機器がぞくぞくと登場する--そんな日が近づきつつあることにとても興奮しています。我々はPCを中心とする3つか4つの主流利用モデルに的を絞り、直接またはパートナーを通して、需要の高い製品とサービスを提供していくつもりです。
写真関連では、プリンターの品揃えを引き続き拡大していく予定です。ご存じの通り、当社はプリンターの写真印刷能力を大幅に強化しました。デジタルカメラもよく売れています。デジカメ事業は急速に成長しました。現在はCanonやKodakといったパートナー企業の製品を扱っていますが、両社とも充実した製品ラインを持っていますので、当面、この方針は変わらないと思います。
--参入分野はどうやって決定するのですか。デジタルホームに関するすべての製品分野を対象に、いくつかの問いを投げかけます。たとえば、その市場に大きな価値を加えることができるか、他社の追随を許さない低価格を実現できるか、ユニークな供給パートナーシップや優位性を獲得できるか。そうやって各製品分野に優先順位を割り振っていったところ、デジタルカメラは当社の基準にわずかに及びませんでした。この市場で、当社が圧倒的な供給優位を確保できるかどうかは分かりませんし、先ほども申し上げた通り、パートナー企業はすでにすぐれた製品を持っています。プリンターやテレビとは、状況がまったく違ったのです。
--テレビ事業について教えてください。家電販売店ではデジタルテレビの取り扱いが急速に拡大しています。なぜかというと、デジタルテレビは40%のマージンを上乗せして販売できるからです。私が大画面デジタルテレビに目を付けたのも、この製品が販売店の大きな収益源となっているからでした。我々にとっては、これはチャンスを意味します。プラズマテレビはそのよい例です。当社は42インチの超高画質プラズマテレビを3499ドルで売り出しました。これに対して、ソニーのプラズマテレビは7999ドル、その他のメーカーの製品も5000〜6000ドルの範囲です。
--そのようなことは、企業の成長戦略としては目新しいものではありません。テレビに関して、世間をあっといわせるようなソリューション、Dellを飛躍的に成長させるようなソリューションはないのですか。 我々が急進的な戦略を推進することはないでしょう。Dellブランドはもっと違ったやり方で、顧客に付加価値を提供しているのです。我々は今後も、先駆的な利用モデルからは距離を置いていくつもりです。実験的なモデルはどう転ぶか予測がつきません。もし、その利用モデルが主流にならなければ、その製品はクローゼットの片隅に追いやられ、顧客は「なぜこんなものに1000ドルも出したのだろう」とがっかりすることになるでしょう。
--ビデオに関してはどうですか。まだ発表できる段階ではありませんが、幅広い関係者と話をしています。ビデオに関しては、短期・中期的に何らかのパートナーシップを結ぶことになると思います。
--たとえば、映画のダウンロードに関するパートナーシップとか?そのようなことを考えています。この市場も十分に成熟しているとはいえませんが、原則的には、映画に関してそのようなことをしない理由はありません。
--多数の家電メーカーと話をしたところ、Dellには2つの問題があるという指摘がありました。1つは、小売店での販売実績がないので、販路を開拓する必要があるということ、そしてもう1つはプロダクト・デザインです。Dellは家電をデザインした経験に乏しく、家電メーカーとして、消費者に親しみを持たれていないというわけです。これは真実でしょうか。そうだとすれば、どう対処していくつもりですか。あまり心配はしていません。家電市場もその他の多くの市場と同様に成熟していくでしょう。その他の市場との類似点はいろいろありますが、正直な話、PCが3000〜4000ドルで売られていた10年前も、直販は成功しないという人がいました。しかし、今では多くの消費者が我々の製品に関心を寄せています。ライバル企業が我々のデザイン能力をうんぬんするのは勝手です--どうぞご自由に。重要なのは、自分の判断だと思います。当社のプラズマテレビは、見た目も非常に美しい。私の自宅の居間には30インチの液晶テレビがあります。これらの製品を見れば、誰もが自宅に欲しいと思うことでしょう。
--参入企業が増えれば、この市場でも統合が進み、価格が下がるのでしょうか。はい、必ずそうなるでしょう。それだけは断言できます。利幅が薄くなるのはよいことです。低コスト構造に関する限り、当社の右に出る企業はありませんからね。
--家電事業は海外でも成功すると思いますか。それとも、あくまでも米国市場を中心に考えているのですか。海外市場には多くのチャンスがあると思います。(Dellの戦略において)最も重要なのはビジネス市場に食い込み、企業顧客を獲得することです。
第2は個人向けPCの顧客を獲得すること、第3は家電の顧客を獲得することです。先進的なコンシューマー事業が存在する成熟した国際市場--たとえば英国、日本、カナダ、オーストラリアといった国々では、家電事業に大きなチャンスがあると考えています。
--日本にもですか?Dellにとって、日本は薄型テレビの大市場です。小型PCもよく売れています。日本でのビジネスは好調で、我々は急速に市場首位の座に迫りつつあります。まだ首位には立っていませんが、破竹の勢いで前進しています。
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