カリフォルニア州パロアルト発--ユーザーがコンピュータリソースを必要としているのは分かる。だが、彼らは、いくらまでなら支払う気があるのだろうか?
Hewlett-Packard(HP)は、「Tycoon」というプログラムを通して、このような疑問を私たちに投げかける。Tycoonは、共有のコンピュータリソースを組織が利用する際の優先順位を決定する。同社は、入札こそが、こうした優先順位を決定する最善の方法だと考えている。ここでは、実際のお金で決済が行われてもよいし、ほかの方法で決済されても構わない。
HPは当面、1つの企業内でのリソース配分にこのメカニズムを使用していきたいと考えている。しかし、最終的には、サードパーティから提供されるリソースや、自社マシンの余剰リソースの入札にもこれを応用できる可能性がある。
HPは「Adaptive Enterprise」構想の実現に向けた研究を行っているが、Tycoonはその一環として開発された。Adaptive Enterpriseでは、企業のニーズに変化が生じても迅速に対応できるコンピュータインフラ作りを目指している。しかし、実際のところ、コンピュータリソースの割り当てをどうすべきか企業が事前に予測することは不可能だということもHPは認識している。
そういった経緯から、HPはTycoonを開発し、事前の計画に基づく中央集権的なリソース配置ではなく、市場の原理を利用したリソース配置を試みることに決定した。「入札額を高くすれば、得られるリソースも多い」とHP Labsの研究者Kevin Laiは説明する。
HPは米国時間10日、報道関係者を前に、デジタルアニメーション制作における利用を想定したTycoonのデモを行った。
Tycoonが解決しようとしている問題は、HPのAdaptive Enterpriseだけでなく、IBMのOn DemandやSun MicrosystemsのN1が取り組んでいた課題でもある。各社とも、多数のタスクでコンピュータの処理能力を共有し、コンピューティングインフラを効率的に利用する方法を模索していた。
だが、このような共有は難しくもある--とくに、自分のマシンの管理を中央のサーバ管理者に任せるのを嫌がる人にとって、共有モデルへの切り替えは容易ではない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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