新たな著作権訴訟の可能性も
現在、双方向のネットラジオサービスは、その大半がサブスクリプション形式をとっている。これらの代表例としては、RealNetworksのRhapsodyや、Napsterによるストリーミングサービスなどがあるが、これらのサービスでは遵守すべき法律が異なる。
新しく登場してきたソフトウェアにより、ネットユーザーは他のユーザーが自分のPCから配信している曲を聴くことができるため、結果的に多種多様な音楽が聴けるようになっている。
こうしたソフトウェアのなかでも、最も普及しているのがAppleのiTunesだ。このソフトウェアでは当初、ユーザー同士がインターネット経由でほかのマシン内にある曲を聴けるようになっていたが、同社は後にこの機能の範囲をローカルネットワークに制限してしまった。
Mercoraでは元々AppleのiTunes Music Storeに類似したダウンロードサービス経由で楽曲を販売することを想定していた。しかし同社は、インターネット放送局へと移行したことにより、ネット上での音楽ストリーム配信に適用される法律を利用できるようになっている。
放送料金は、レコードレーベルではなく米国著作権局が定めており、リスナー1人当たり約7分の1セント、あるいは100万人で約1429ドルと、比較的安く設定されている。その結果、Mercoraは自社ネットワーク上で配信する放送局に代わって支払う費用を広告の売上でまかなうことができるという。
「これを合法的に展開する方法を考えるのが大問題だった。法律では、対価さえ支払えば放送は可能だという。ならばそうしよう、ということだ」(Sampath)
そして、このことから関係者全員が恩恵を得られる共生関係が生まれた。個人の放送局には作り上げたものを発信する場が提供されたが、彼らが個人的に放送料金を負担することはない。一方、Mercoraは放送局やケーブルネットワークのような役割を担い、将来的には広告販売やサブスクリプションサービスから収益を得られる可能性がある。しかも同社は、通常のメディアネットワークとは異なり、さまざまなコンテンツを購入する必要もなく、またそれを保守する必要もない。あるのは、膨大な数のサーバにかかる保守費用だけだ。
リスナーにとっては、曲を無償で聴けることがメリットとなる。現在、ユーザーはネットワークに参加するためのソフトをダウンロードするだけで無料で曲を聴くことができる。ただし、将来的にはMercoraも一部のサービスについては定額料金を徴収する可能性がある、とSampathはいう。同氏は以前、ウイルス対策ベンダーのMcAfeeを設立してハイテク業界で一躍有名になった人物だ。
放送される曲をリスナーがダウンロードしたらどうなるのだろうか?法的には、合法的に放送された曲はリスナーの個人利用にかぎり、著作権法に違反しないことになっている。「テープレコーダのようなものだ」とSampathはいう。
だが、ダウンロードした曲を他人に販売もしくは転送することは違法行為になる。今後は、デジタル著作権管理(DRM)技術の改善により、リスナーによるこのような行為は制限されるようになるはずだ。さらに、Mercoraではそうした行為を制限する技術を自社のクライアントソフトに組み込んでいる。
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