チップ開発力増強を進めるAMD - (page 2)

John G. Spooner(CNET News.com)2004年10月25日 10時00分

隣の芝生は・・・

 AMDは、コンピュータの性能向上やセキュリティ強化に向けた、チップの機能強化も進めている。たとえば、「Pacifica」(開発コード名)という技術は、コンピュータが異なるプログラムを同時に実行できるようパーティションを切る仮想化ソフトウェアと連携するもので、また「Presidio」という技術ではセキュリティに重点が置かれている。

 AMDのMargaret Lewis(商用ソフトウェアストラテジスト)は、「セキュリティと仮想化は、(もはや)実際にはソフトかハードのいずれかという問題ではなく、ハードとソフトが’結合したものになっている」と語った。

 AMDのプロセッサ設計ラボは、マルチコアの設計に寄与し、Pacificaなどの技術を実現すべく開発に取り組むが、これも同社にとっては複雑な問題解決につながる解決策の1つでしかない。

 同社が問題を解決して落ち着くには、ほかにも、先ごろ130ナノメートルから90ナノメートルへと製造技術を移行したばかりの生産体制の維持といった解決策が必要になる。同社はさらに、Microsoftなどのソフトウェアメーカー各社と良好な関係を維持し、コンピュータメーカーとの取引を拡大し、消費者市場とビジネス市場の両方で好ましいブランドイメージを確立しなくてはならない。

 Mercury ResearchのアナリストDean McCarronは、「AMDにとって、成功とはマーケットシェアを獲得することではなく、黒字を続けること」と語った。同社は、優れたチップを設計することにより、価格の引き上げや製造コスト全体の抑制を通じて、利益をうまく守れるという。

 「各方面で損失が出ていたら、マーケットシェアが20%でも80%でも意味がない」(McCarron)

 Mercuryによると、PCプロセッサ市場における同社の出荷数ベースのシェアは当初変動が激しく、2001年には20%以上に伸びたものの、最近5年間では平均で16%前後だという。つまり、AMDがIntelの牙城を崩そうと思えば、マーケットシェアを大幅に拡大する必要がある。

10%のソリューション

 無論、AMDが考えているのは売上個数だけではない。同社は、サーバなど収益性の高い市場での自社のシェア拡大も目指しており、今年末までにx86サーバ市場の売上個数ベースで10%のシェア獲得を目指している。同社では売上増も成果のバロメーターにしようとしている。

 Boston Design Centerも、AMDの新型プロセッサ発売に向けて重要な役割を演じていく。だが、かつてAPI Networksの元社員約35人が勤務していたこの小規模な拠点は、チップの設計グループ以外にも、AMDのプロセッサ事業を統括するComputational Products Group(CPG)の業務中枢となっている。

 現在約160人が勤務する同オフィスは、Professional Services Group(PSG)を含むCPGの顧客サポート業務拠点となっている。PSGは、AMDチップをベースにしたコンピュータを設計する顧客支援を専門にしている。その業務は、最新チップを可能な限り多くのコンピュータに搭載したいと考えるAMDにとって極めて重大なものだ。

 AMDのRichは、同グループが支援したプロジェクトについてはあまりコメントできないとしながらも、現在発売されているOpteronベースのワークステーションやサーバの多くに関わったと示唆している。

 同センターは、多数のプロセッサを連結して処理能力を一括利用するAMDの高度計算用途チップの営業拠点にもなっており、同社が策定に参加した高速チップ間データ接続技術であるHyperTransportの開発支援も続けている。

 それでも、AMDにとって今後の最重要課題となるのは、製品ラインを適切に組み合わせて市場に投入していくことだろう。

 「このビジネスのカギは、優れた製品を(1つだけ)用意することではない。優れた製品を次々に投入していくことだ。安定した顧客ベースはこのようにして構築していくものだ」(McCarron)

 McCarronは、新製品の設計に投資することは「必要なこと」であり、「チップ開発は1度かぎりのビジネスではない」とその理由を説明した。

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