システム、ソフトウェアに関するコンサルティングと開発を手掛ける豆蔵が11月9日に東証マザーズに新規上場する。顧客が本当に満足できるシステム開発を目指す独立系の成長期待企業として注目を集めており、前評判はもちろんのこと上場後の株価上昇にも多くの市場関係者から期待が寄せられている。
現在でも「システム開発の約70%は失敗しているのが実情」というのが業界関係者のほぼ一致した見方だという。委託を受けた開発者は要求どおりに制作したつもりでも、利用者は出来上がったものに満足できず、利用しないままになっているケースも少なくないという。その背景には、開発者サイドでは開発プロジェクトの推進を個人の能力に頼りすぎていることがあり、これに対してユーザーサイドでは、発注したシステムに求める本来のニーズを正確に開発者に伝え切れていないケースも多いという。
こうしたソフト開発に関する問題点を根本から解決するために、豆蔵では独自に確立したエンソロジー(enterprise methodologyを合成した造語)と称するシステムの開発技術体系を用いて、(1)情報化戦略の策定支援、情報化業務の改革支援、システムの受託開発などを行うエンソロジー・ソリューション事業、(2)情報化業務に従事する企業の開発部門や技術者にエンソロジーに関する教育研修を行う教育ソリューション事業、(3)連結納税申告書作成を支援するシステムとして、数百社の子会社を有する大企業から経理人員に余裕のない小規模企業まで、連結納税を導入するあらゆる企業のニーズに応える連結納税システム「連結Tax- Saver」など--を展開している。
エンソロジーについて、豆蔵では「従来のように場当たり的にシステムの開発を行うのではなく、より短い期間内に、より低コストで、より完成度の高いシステムを開発するために、オブジェクト指向技術などのソフトウェア工学を駆使しつつ、体系的かつ効率的に業務分析と要求定義を行い、実現すべきビジネスゴールや全体最適化に向けて工学的にどのようなシステムを設計・構築するべきかを導き出すビジネス・ドリブン・アーキテクチャー(Business Driven Architecture)という考え方を基本コンセプトとしている」としている。
同社の2004年9月期の単独業績は、売上高14億5200万円(対前々期比10%増)、経常利益1億1900万円(同80%増)、純利益6700万円(同92%増)程度となったもようだ。さらに、今期の2005年9月期の業績予想は、売上高16億2300万円(前期推定比11%増)、経常利益1億8900万円(同58%増)、純利益1億円(同49%増)と好調な推移が見込まれている。
今回同社は新規上場に伴って1400株(上場時の発行済み株式総数7000株)の売り出しを予定しており、売出価格は10月27日に決定される予定だ。現在までの想定発行価格は1株=32万円だが、これに近い水準で売出価格・公開価格が決まるものと見込まれている。上場後の株価は初値が公開価格の2倍に相当する60〜70万円水準、その後全体相場が堅調であれば、中期的には株価100万円台に乗せることも十分想定できそうだ。
なお、「豆蔵」という珍しいインパクトの強い社名に由来については、Java Beans(Java言語を用いて開発され、部品化されたBeanと呼ばれるプログラムを組みあわせてアプリケーションソフトを構築する手法。また、Java言語でBeanを作成するための技術仕様)に由来しているという。(超眼)
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